ショートメッセージ【ヤコブ②】

～訓練の始まり～
創世記28章
　先週28章については、9節までみましたが、今日、その部分を含めて、28章全体から見ていきます。ヤコブは、兄エサウの祝福をだまし取ったことで、兄の怒りからのがれるために、母リベカの兄ラバンが住むハランに旅立ちます。その距離は約640㎞、徒歩での旅でした。

　本日は2つのことを見ます。

1、イサクによる祝福

創世記28:1-4
28:1 イサクはヤコブを呼んで、これを祝福し、命じて言った、「あなたはカナンの娘を妻にめとってはならない。
28:2 立ってパダンアラムへ行き、あなたの母の父ベトエルの家に行って、そこであなたの母の兄ラバンの娘を妻にめとりなさい。
28:3 全能の神が、あなたを祝福し、多くの子を得させ、かつふえさせて、多くの国民とし、
28:4 またアブラハムの祝福をあなたと子孫とに与えて、神がアブラハムに授けられたあなたの寄留の地を継がせてくださるように」。

　父イサクは、兄のエサウを祝福しようとしていました。弟ヤコブは、父イサクをだまして、その祝福を奪い取ったのです。しかし、父イサクは、そのことを咎めることなく、ヤコブを祝福して送り出しています。

　イサクは、神さまがアブラハムにされた祝福をここで繰り返しています。
　この時のイサクは、神さまのお考えが「神さまに属する長男」の位置づけをエサウではなく、ヤコブへその約束の祝福を継がせることを認め、従ったということでしょう。

　また、リベカの兄ラバンのところに行くことは、母リベカの思い付きでした。
　しかし28章1-2節、イサクのヤコブへの語りかけから、この旅が逃亡の旅ではなく、信仰継承のためのお嫁さん探しの旅へと変えられています。

　この出来事は、母リベカとヤコブの自分本位な人の知恵から出たものでした。しかし神さまは、それさえも用いてご自身のご計画を進められているのです。
　神さまは人の思いから出たことにも関わられ、それを神さまのご計画として用いられるということです。

　私たちはよく「偶然」、「たまたま」と言いますが、神さまの関与されない出来事はなく、この世で起こるすべてが神さまの目からみたら必然、神さまがご計画され、そのとおりになるということになります。

　もちろん神さまが関わられるご計画だからと言って困難がないわけではありません。神さまは、困難を私たちの訓練として用いられるからです。
　ヤコブの父イサクは、父アブラハムのお膳立てによって結婚に導かれました。アブラハムのしもべは、結婚のための貢ぎ物として、らくだ十頭に高価な品物を携え行きました。しかしヤコブは、何も持たずに出かけました。結婚のための貢ぎ物のすべてを自分自身でまかなうことになるのです。

　そんな彼を父イサクが祝福して送り出しています。
　この祝福の本当の意味をこの時のヤコブはほとんど理解できていなかったでしょう。しかし、ヤコブは、これから先、父イサクから、アブラハムの信仰を引き継ぐ者として、ヤコブ自身が、神さまからの祝福を大いにいただくのです。神さまは、約束されたことを必ず守り果たされるお方です。

　たとえ人が立てた計画であっても、すべてのことに神さまが関わり、導かれているのです。ですから、神さまのみ心を求めて、神さまが立ててくださっているご計画のうちを前進する歩みこそが、平安で、真っ直ぐにすすむ一番の道です。神さまは、たとえ私たちが、自分本位に走り、神さまのみ心から外れて反対方向に歩んでも、神さまは、カーナビのように進むべき道を示し続けてくださいます。そのカーナビに示す矢印となる神さまのみこころ、ご計画を見出して、従っていく歩みを神さまが喜び、祝福してくださり、必要な助けを与えてくださいます。

2、神さまによる祝福

28:10 さてヤコブはベエルシバを立って、ハランへ向かったが、
28:11 一つの所に着いた時、日が暮れたので、そこに一夜を過ごし、その所の石を取ってまくらとし、そこに伏して寝た。
28:12 時に彼は夢をみた。一つのはしごが地の上に立っていて、その頂は天に達し、神の使たちがそれを上り下りしているのを見た。

　ヤコブは、エサウのような野の人（狩りをする人）ではありませんでした。家族とともに幕屋／遊牧民のテントで生活していました。野宿の経験はほとんどなかったでしょう。異教の民たちの土地に１人きり、寂しさが夜の暗闇とともに押寄せていたでしょう。母リベカの言われるままに従ってしまった自分の弱さ、その結果がもたらしたこの逃亡の旅への後悔、そしてあまりにも利己的であった自分の罪の意識もあったかもしれません。

　夜の静けさの中で、ヤコブは自分の弱さ、もろさに向き合っていたのではないでしょうか。そのような思いがめぐる中で、石を枕にして寝たとき、彼は夢を見ました。その夢の中でヤコブは神さまと出会いから祝福の約束を聞いたのです。

　ヤコブは、天に達するはしごを見て、この地が天とつながり、天の神さまが、この地のどこにも満ちておられるということを実感しています。また、神の使たちが上り下りしているのを見て、ここが神さまの家の入口だ。ここから人の願いや祈りが天に上り、また、神さまの答えと祝福がおりてくるということを実感したようです。

28:13 そして主は彼のそばに立って言われた、「わたしはあなたの父アブラハムの神、イサクの神、主である。あなたが伏している地を、あなたと子孫とに与えよう。
28:14 あなたの子孫は地のちりのように多くなって、西、東、北、南にひろがり、地の諸族はあなたと子孫とによって祝福をうけるであろう。
28:15 わたしはあなたと共にいて、あなたがどこへ行くにもあなたを守り、あなたをこの地に連れ帰るであろう。わたしは決してあなたを捨てず、あなたに語った事を行うであろう」。
28:16 ヤコブは眠りからさめて言った、「まことに主がこの所におられるのに、わたしは知らなかった」。
28:17 そして彼は恐れて言った、「これはなんという恐るべき所だろう。これは神の家である。これは天の門だ」。
と言っています。

　そして、ヤコブは夢で神さまが語っているのを聞きます。それはアブラハムにもイサクにも語られたもので、土地が与えられること、子孫の繁栄とすべての民の祝福が告げられます。これは、アブラハムの神、イサクの神である神さまの約束が今ヤコブにつなげられたことを意味します。その上に、ヤコブには、アブラハムやイサクにもなかった約束が与えられています。それは28章15節です。

28:15 わたしはあなたと共にいて、あなたがどこへ行くにもあなたを守り、あなたをこの地に連れ帰るであろう。わたしは決してあなたを捨てず、あなたに語った事を行うであろう」。

　この神さま約束には条件が付いていません。無条件の恵みです。受け取るだけでよい恵みです。
　しかし、ヤコブは条件無しで与えられた恵に対して、条件付きの誓約で答えています。

28:20 ヤコブは誓いを立てて言った、「神がわたしと共にいまし、わたしの行くこの道でわたしを守り、食べるパンと着る着物を賜い、
28:21 安らかに父の家に帰らせてくださるなら、主をわたしの神といたしましょう。

　ヤコブは初めて神さまの存在を意識し、神さまを恐れ、この地を「ベテル＝神の家」と名付けて、神さまに誓約をしているのです。しかし自己中心的でご利益宗教的な条件を付けた誓約でした。

　条件無しで与えると言われた神さまのことばを信じて受け入れることができたのであれば、誓約するための条件は必要ありませんでした。それらは無条件で与えると言われていたのですから、ただこの神さまにお任せし委ねればそれで十分なはずでした。

　しかしヤコブは、神さまが言われた条件無しに「与える」といった語りかけに、「もし、それらを本当にくださるのなら従います。誓います。」と言っているのがヤコブの考えです。
　こうして見るとヤコブは、まだまだ神さまの御心を知りません。神さまとヤコブの関係にまだ大きな隔たりがあることが分かります。このギャップこそが、これからのヤコブの信仰ののびしろなのです。
　そして、《…あなたをこの地に連れ帰るであろう。》と神さまが言われたその時までヤコブの信仰の訓練が続いていきます。

　いかがでしょうか。今日のこの瞬間も神さまのご用意された必然です。
　天地を造られた真の神さまはすべてをご存知なのです。そして、神さまは私たちに関心をもって見ておられます。ヤコブのように自分に向き合ってみてください。自分の弱さ、愚かさ、罪の意識が心に迫るという人はいないでしょうか。

　神さまは《わたしはあなたと共にいて、あなたがどこへ行くにもあなたを守り、あなたをこの地に連れ帰るであろう。わたしは決してあなたを捨てず、あなたに語った事を行うであろう。》とヤコブに語られましたが、今日では、アブラハム→イサク→ヤコブだけではなく、ヤコブの子孫を通し、神さまを信じるすべての民の祝福を神さまは約束されておられます。

　すでに聖書の真の神さまを信じておられる皆さんへ、
　まだまだ困難がありますか。でもそれは、神さまが示しておられる私たち信仰者1人1人への信仰の伸びしろです。
　かならず神さまは、ヤコブとおなじように信仰者としてのゴールへ連れ帰って、祝福してくださいます。それを信じて歩みを進めてまいりましょう。

　また、真の神さまを信じておられない方はいかがでしょうか。
　今日見たヤコブのように自分にとって良いことがあれば誓って信じますか。
　自分の思いが満たされることだけを願いますか？

　もし、人々のそれぞれの欲求を満たす神さまがいたら、それは世の秩序を乱す神さまにしかならないでしょう。
　それどれの思いは自分本位で、人々の自分本位の思いのすべてを満たす世の中は存在し得ないからです。

　そしてこの世界の秩序は、神さまの許しの中で保たれています。ということで、その秩序の中で、神さまが1人1人に立てられている神さまのご計画、御心を知って前進する歩みこそが、回り道のない、平安な道となります。
　信じておられる方もそうでない方も、《わたしはあなたと共にいて、あなたがどこへ行くにもあなたを守り、あなたをこの地に連れ帰る》と言う神さまのお言葉に信頼して歩んでまいりましょう。

2022年4月24日（日）
ニホン・ネットキリスト教会
メッセンジャー：香川尚徳師

【教会を離れてしまった兄姉へ】
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【人生に行き詰った方へ】
教会は、人がこの世に生まれた時から天に召される時まで、すべての時が神の導きと祝福の内にあることを実感するところです。そして、聖書は人生の処方箋とも言えます。人生に行き詰まりを感じることや、疲れをおぼえる時は、先ず休むことです。明日のことは、明日にならないとわかりません。明日に備えてグッスリ眠るほうが健康的です。
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