【クリスマス・メッセージ】
ヨハネによる福音書1章1-5節
「言葉・命・光」― イエス・キリストのご降誕の意味
1、「言葉」― 神を現すもの
2、「命」― 人を生かすもの
3、「光」― 暗闇を照らすもの
4、ご降誕の意味
5、むすび
皆さま、メリークリスマス！
街のイルミネーションは美しいですが、この世界や私たちの心の中には、孤独や不安という『暗闇』が広がっているのも事実です。今日、この集会で、その闇を照らす“まことの光”に出会っていただきたいと思います。
ヨハネによる福音書は、このような言葉で始まります。
《初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。》（1章1節）
この壮大な宣言は、ただの哲学的表現ではありません。著者ヨハネが伝えたいのは、イエス・キリストこそ神の本質そのものであり、私たちに神を現してくださる「言葉」「命」「光」であるということです。
1、「言葉」― 神を現すもの
ヨハネによる福音書1章1-2節を読んでみましょう。
1:1 初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。
1:2 この言は初めに神と共にあった。
ヨハネは「ロゴス（言葉）」という言葉を用いました。当時のギリシャ文化圏で「ロゴス」とは、世界を秩序づける道理にかなった法則や原理を意味しました。しかしヨハネは、単なる抽象概念ではなく「人格を持つお方」、すなわちイエス・キリストとして紹介します。
ここでヘブル人への手紙1章1-3節を読んでみましょう。
1:1 神は、むかしは、預言者たちにより、いろいろな時に、いろいろな方法で、先祖たちに語られたが、
1:2 この終りの時には、御子によって、わたしたちに語られたのである。神は御子を万物の相続者と定め、また、御子によって、もろもろの世界を造られた。
1:3 御子は神の栄光の輝きであり、神の本質の真の姿であって、その力ある言葉をもって万物を保っておられる。そして罪のきよめのわざをなし終えてから、いと高き所にいます大能者の右に、座につかれたのである。
人間の言葉が心を表すように、イエス様は“神さまの御心”と“愛”を表してくださいました。ヘブル書1章2節も《この終りの時には、御子によって、わたしたちに語られた》とあります。クリスマスに生まれた幼子イエス様は、まさに神さまご自身の「究極のことば」です。
2、「命」― 人を生かすもの
・広辞苑によれば、命は「生物の生きてゆく原動力」や「一生」「生涯」とあります。
・心理学では、「命」は生物学的な現象としてだけでなく、精神的なエネルギー、人生の意味、有限性、そして個人の物語といった、多角的な側面から捉えられています。
・哲学における「命」の定義は、
①本質論として：自己成長や思考といった機能（魂）の原理
②存在論として：時間の中で創造的に持続する力（エラン・ヴィタール）
③実存論として：死によって規定され、自らが引き受ける有限な生
④倫理学として：絶対的な価値や尊厳の源泉
というように、関心の対象が多岐にわたります。
では、聖書は《命》をどう語っているのでしょうか。「なぜ自分は存在するのか」という答えはあるのでしょうか。
ここで、ヨハネによる福音書1章3-4節を読んでみましょう。
1:3 すべてのものは、これによってできた。できたもののうち、一つとしてこれによらないものはなかった。
1:4 この言に命があった。そしてこの命は人の光であった。
聖書辞典によれば、旧約聖書では《命》は神さまから与えられる根源的な力であり、新約聖書ではイエス様に結びついて「霊的ないのち」「復活のいのち」を意味します。
クリスマスにおいて与えられる《命》は、単なる生物学的な寿命ではありません。それは、神さまとつながることによって与えられる“まことの命”です。イエス様はこう言われました。
ヨハネによる福音書10章10節後半です。
10:10b わたしがきたのは、羊に命を得させ、豊かに得させるためである。
《命》とは、単に心臓が鼓動していることではなく、神さまと和解し、愛の中に生きることです。クリスマスの喜びの交わりの中で笑顔が広がるとき、そこに《命》の豊かさを感じます。
ここで、ローマ人への手紙1章20-21節を読みます。
1:20 神の見えない性質、すなわち、神の永遠の力と神性とは、天地創造このかた、被造物において知られていて、明らかに認められるからである。したがって、彼らには弁解の余地がない。
1:21 なぜなら、彼らは神を知っていながら、神としてあがめず、感謝もせず、かえってその思いはむなしくなり、その無知な心は暗くなったからである。
この箇所を読むと神さまから人間だけが持つ3つの能力があります。
人間が「神さまの似姿」として創造された結果、次の三つの能力を持つため、神さまと交わり、また神さまに背くことができる「特別な命」であると言えます。
（1）認識（認識する存在）
人間は、神さまの存在や属性を、自然界や啓示（聖書）を通して認識する能力を持っています（ローマ書1章20節）。動物は本能に従うのみですが、人は「なぜ自分は存在するのか」という根源的な問いを発することができます。
まさに、17世紀の哲学者デカルトの言った「我思う、ゆえに我あり」に代表される自己意識です。つまり、自分自身の存在を理解し、自分自身の限界を認識することで、超越的な存在（神さま）を認識することができます。
（2）応答（交わる存在）
人間は、神さまの呼びかけや命令に対して、自由意志をもって応答する能力を持っています。礼拝、祈り、信仰といった形で神さまとの対話的な交わりが可能です。
言葉（ロゴス）を通じて神の意志を理解し、態度（行動）を通じて神さまの意志に応えることができる、唯一の被造物（創造された存在）です。
（3）逆らう（背く存在）
創世記のアダムとエバの物語が示すように、人間は神さまの定めた律法や言葉に逆らい、罪を犯すという自由（選択の自由）を悪用する存在でもあります。
この「逆らう」能力は、人間が道徳的な選択とその結果に対する責任を負う存在であることを意味します。他の動物は本能的な行動に対して責任を問われませんが、人は神さまに対する「応答」の放棄や否定に対して裁きを受ける可能性があるのです。
ですから、「人」の命は、単なる生物学的な命や精神的な命に留まらず、「神さまとの関係性の中で、永遠性を賭けた対話を行う命」と言えるでしょう。
《無知な心は暗くなった》のですが、神さまは愛と憐れみに満ちた御方ですから、御子イエス様を信じるとき、私たちは神さまと和解することがゆるされ、永遠の《命》に生かされるのです。
私たちは「神さまが与えた特別な命」の存在だということがわかります。
3、「光」― 暗闇を照らすもの
ヨハネによる福音書1章5節
1:5 光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった。
この言葉は、絶望の中に希望を告げます。イエス様の時代、ユダヤはローマ帝国の支配下で、多くの人々が抑圧と不安の中に生きていました。そこに「真の光」として来られたのが、イエス・キリストです。
今日の私たちも、孤独・病・戦争・不条理という暗闇を抱えています。イルミネーションは一時的な輝きにすぎませんが、イエス様の光は決して消えることがありません。十字架の死を越え、復活によって輝きを増したのです。
イザヤ書（旧約聖書）の預言は、イエス様のご降誕において成就しました。
イザヤ書9章2節です。
9:2 暗やみの中に歩んでいた民は大いなる光を見た。暗黒の地に住んでいた人々の上に光が照った。
その《光》は、人生を導く真理であり、平和と希望の源です。
4、ご降誕の意味
「言葉」「命」「光」の源であるイエス様はへりくだられ、みどりごとなって布に巻かれ飼葉桶に寝ておられたのです。神さまの御子が人となられたのは、私たちを罪から救い、永遠の命へと導くためです。
旧約聖書のイザヤ書9章6節でイエス様は、次のように“となえられる”と言われます。
9:6 ひとりのみどりごがわれわれのために生れた、ひとりの男の子がわれわれに与えられた。まつりごとはその肩にあり、その名は、「霊妙なる議士、大能の神、とこしえの父、平和の君」ととなえられる。
ヨハネは自身の書いた福音書の目的をこう記しています。ヨハネによる福音書20章31節です。
20:31 しかし、これらのことを書いたのは、あなたがたがイエスは神の子キリストであると信じるためであり、また、そう信じて、イエスの名によって命を得るためである。
そうです。イエス様が人としてお生まれになったのは、父なる神さまの“さばき”から私たちを救うためでした。すなわち、イエス様ご自身が、私の罪の、そして私たち一人ひとりの罪の身代わりとなられるためだったのです。
5、むすび
ヨハネの第一の手紙には《神は愛である》（ヨハネの第一の手紙ヨハネ4章8節）と記されています。ヨハネは福音書と他の書簡を通じて、イエス様こそ神の愛を示す御方であることを一貫して語りました。
クリスマスの本当の喜びは、イエス様を心に迎え入れることにあります。
・すでに信じておられる方には、光に導かれているかを改めて問いかけてください。。
・まだ信じていない方には、このクリスマスを機会に“まことの光”に導かれることをお勧めします。
聖書によると、この世は“闇”です。また、私たちの心の中を覗くと取除けない“闇”があります。その“闇”の中に輝く光は、必ずあなたを導きます。イエス・キリストは「言葉」であり、「命」であり、「光」です。
このクリスマス、あなたもその《光》を心に受け入れ、“まことの光”と共に歩んでまいりましょう。
メリークリスマス！
2025年12月21日（日）
ニホン・ネットキリスト教会
メッセンジャー：戀田寛正
【気が楽な教会を探しておられる兄弟姉妹へ】
以前、日曜日に教会へ通っておられたのに、今は少し離れておられる方々へ。
理由は人それぞれ、さまざまだと思います。けれども――
「もう一度、教会へ行ってみたいなぁ」「礼拝に出たいなぁ」「賛美したい♪」
「人と話すのはちょっと苦手だけど、礼拝には出席したい」
そんな思いが心のどこかにある方へ。
まずは、ご自宅からオンラインで礼拝に参加してみませんか。
オンラインの便利さを活かして、どこからでも、無理なく、あなたのペースで礼拝と聖書の学びにふれていただけるよう準備しています。
【教会や聖書にご興味のある方へ】
教会は、人がこの世に生まれたときから天に召されるときまで、すべての時が神さまの導きと祝福のうちにあることを実感するところです。そして、聖書は人生の処方箋とも言えるでしょう。
もし今、心に問いかけたいことや、立ち止まりたくなるような時を過ごしておられるなら、どうぞ礼拝のひとときを通して、静かにご自分の心と向き合ってみてください。
礼拝は、心にそっと安らぎを与えてくれるかもしれません。
※当教会は、信仰の有無や長さに関係なく、
気楽に集いたい方、気楽に聖書を学びたい方に向いています。
※聖書解釈はオーソドックスなプロテスタントですが、
教理・教条主義ではありません。
※牧師・伝道師の属人的な教会ではありません。
上下関係は無く、フレンドリーで話しやすい教会です。
※オンラインですので顔出ししなくても大丈夫です。
ニックネームでの参加もOKです。
