ショートメッセージ【ホセア③】

ホセア書11章、13-14章
(主に帰れ)

1、神さまの深い愛と北イスラエル回復の預言(ホセア11章)
2、北イスラエルの滅亡と回復の預言②(ホセア13章、14章)
3、ホセアの結論

1、神さまの深い愛と北イスラエル回復の預言(ホセア11章)
 ホセア書11章1-3節を読みます。

11:1 わたしはイスラエルの幼い時、これを愛した。わたしはわが子をエジプトから呼び出した。
11:2 わたしが呼ばわるにしたがって、彼らはいよいよわたしから遠ざかり、もろもろのバアルに犠牲をささげ、刻んだ像に香をたいた。
11:3 わたしはエフライムに歩むことを教え、彼らをわたしの腕にいだいた。しかし彼らはわたしにいやされた事を/知らなかった。

 ホセア書における、神さまと北イスラエルの関係は、妻を愛する夫とその愛にも関わらずに不貞に走る妻との関係であらわされています。そして11章では、それが「父と子」の関係に置き替えられています。

 父は子を愛すれば愛するほど、子を呼べば呼ぶほど、子はますます遠ざかり、子である北イスラエルは、父である神さまの愛から背を向けてますます離れて行ってしまったのです。そしてバアルに犠牲をささげ、刻んだ像に香をたいたのでした。

 幼子は自分一人で歩けるようになったと思っていますが、父は子に、優しく歩き方を教えていたのです。幼子は自分が病気の時に父親がどれほど心配し、心をこめて看病してもらったことも自覚していないのです。それと同じように北イスラエルは父なる神さまの慈愛を忘れ去っていると言っています。
 11章5節を読みます。

11:5 彼らはエジプトの地に帰り、アッスリヤびとが彼らの王となる。彼らがわたしに帰ることを拒んだからである。

 エジプトは、彼らの先祖たちが奴隷とされていた地でしたが、今や北イスラエルはさらに冷酷で残酷なアッスリヤに仕えることになると警告されています。それは、彼らが自分たちの真の神に立ち帰ることを拒み続けたからです。

 もちろんそれは、子どもの誤った行動が、悲惨な結果をまねくことを知る父親が、子どもを懲らしめるのと同じように、父なる神さまは彼らを憎んでいるわけではありません。そして愛している子を懲らしめなければならない神さまの方がより大きな痛みを感じているのです。それは北イスラエルを愛する神さまの愛が、私たちが計り知れないほどに、大きくて深いものであるからです。
 それが11章8節から示されているのです。11章8-9節を読みます。

11:8 エフライムよ、どうして、あなたを捨てることができようか。イスラエルよ、どうしてあなたを渡すことができようか。どうしてあなたをアデマのように/することができようか。どうしてあなたをゼボイムのように/扱うことができようか。わたしの心は、わたしのうちに変り、わたしのあわれみは、ことごとくもえ起っている。
11:9 わたしはわたしの激しい怒りをあらわさない。わたしは再びエフライムを滅ぼさない。わたしは神であって、人ではなく、あなたのうちにいる聖なる者だからである。わたしは滅ぼすために臨むことをしない。

 神さまは、北イスラエルを見捨てたり、引き渡したり、ソドムやゴモラと同じように焼かれて滅ぼされたアデマやセボイムの町のように滅ぼすことはできないと、今も北イスラエルを深く愛していることを隠すことなく言い現しています。

 それなのに罰しなければならないので、神さまの心は、11章8節で《わたしの心は、わたしのうちに変り、わたしのあわれみは、ことごとくもえ起っている。》と言われています。

 新改訳2017では、《わたしの心はわたしのうちで沸き返り、わたしはあわれみで胸が熱くなっている。》と訳されていて、こちらの方が神さまの葛藤する心、断腸の思いがより伝わると思います。

 さらに、あなたがた人のように怒りや憎しみの感情によってこのさばきをするのではなく、神として聖なるものとしてのさばきであることを強調しています。

 このさばきが神さまご自身にとっても耐え難い痛みを覚えるものであるからこそ、放蕩の子が反省して父に立ち帰った時にその子を抱きしめる父親のように北イスラエルの民にも慰めが与えられるのです。
 11章10-11節を読みます。

11:10 彼らは主に従って歩む。主はししのほえるように声を出される。主が声を出されると、子らはおののきつつ西から来る。
11:11 彼らはエジプトから鳥のように、アッスリヤの地から、はとのように急いで来る。わたしは彼らをその家に帰らせると/主は言われる。

 北イスラエルの慰めの時が記されています。しかし、この北イスラエルの慰めの時は、まだ来ていません。アッシリヤの捕囚となった北イスラエルの民は離散して、その所在は不明です。しかし、神さまは彼らを見捨てることなく、やがていつの日か神さまの招きによって、彼らが神さまの権威と愛とあわれみを知るときが来るのです。その時彼らは、獅子の声を恐れる鳥や鳩のように主なる神さまを恐れながら、神さまのもとに引き寄せられて、主と共に住まう回復の時が与えられることが約束されているのです。

2、北イスラエルの滅亡と回復の預言②(ホセア13章、14章)
 13章15-16節を読みます。

13:15 たとい彼は葦のように栄えても、東風が吹いて来る。主の風が荒野から吹き起る。これがためにその源はかれ、その泉はかわく。それはすべての尊い物の宝庫をかすめ奪う。
13:16 サマリヤはその神にそむいたので、その罪を負い、つるぎに倒れ、その幼な子は投げ砕かれ、そのはらめる女は引き裂かれる。

 これは北イスラエルに対するさばきについて書かれています。北イスラエルの首都サマリヤが東風にたとえられるアッスリヤの攻撃にさらされて、想像を絶する悲惨を味わうとの警告になっています。
 それと同時に、ホセアは、神さまに立ち帰ることを強く勧めています。
 14章1-4節を読みます。

14:1 イスラエルよ、あなたの神、主に帰れ。あなたは自分の不義によって、つまずいたからだ。
14:2 あなたがたは言葉を携えて、主に帰って言え、「不義はことごとくゆるして、よきものを受けいれてください。わたしたちは自分のくちびるの実をささげます。
14:3 アッスリヤはわたしたちを助けず、わたしたちは馬に乗りません。わたしたちはもはや自分たちの手のわざに向かって/『われわれの神』とは言いません。みなしごはあなたによって、あわれみを得るでしょう」。
14:4 わたしは彼らのそむきをいやし、喜んでこれを愛する。わたしの怒りは彼らを離れ去ったからである。

 ここでの不義は、金の子牛のような偶像を造って拝んだり、土着の神であるバアルを礼拝したりして、まことの神さまに背をむけ続けることでした。

 しかし、神さまは、神さまに立ち帰り、3節に書かれているように、アッスリヤに助けを求めることをやめて、馬に乗ること、つまり武力による軍事的解決を求めず、偶像礼拝をやめて、神さまにその栄光をたたえる賛美をもってくちびるの果実をそなえることで、4節にあるように、神さまは彼らの背きを完全にゆるして、喜んで愛してくださることが約束されています。
 この神さまの赦しの約束こそが、私たちの希望でもあります。
 どんなことをしても、どのような状況にあっても、主なる神さまに立ち帰るものは、神さまのゆるしを得るのです。

 そしてそれは、イエス・キリストの十字架によってますます明確に私たちに知らされています。

 14章5-8節までは、立ち返ったことで、主の怒りがさったあとの神さまの赦しと救いの豊かさが記されているのです。
 14章5-8節を読みます。

14:5 わたしはイスラエルに対しては露のようになる。彼はゆりのように花咲き、ポプラのように根を張り、
14:6 その枝は茂りひろがり、その麗しさはオリブの木のように、そのかんばしさはレバノンのようになる。
14:7 彼らは帰って来て、わが陰に住み、園のように栄え、ぶどうの木のように花咲き、そのかんばしさはレバノンの酒のようになる。
14:8 エフライムよ、わたしは偶像となんの係わりがあろうか。あなたに答え、あなたを顧みる者はわたしである。わたしは緑のいとすぎのようだ。あなたはわたしから実を得る。

 雨の少ないイスラエルでは露が植物を潤わせます。ゆりは美しさを象徴しています。ポプラはレバノン杉のことで、高く成長することを意味します。
 オリブは、力と繁栄の象徴です。そしてエデンの園のような豊かさが与えられるのです。

 14章8節は主なる神さまとの愛に満ちた関係の復活が書かれています。
 そしてあなたの神は私であり、偶像は関係ないでしょうと優しく語り掛けています。
 緑のいとすぎは、いのちと力を象徴していて、イスラエルにそれらが与えられることが言われています。

 いつでもだれでも神さまへ立ち帰るように、その者を神さまは喜んで受け入れてくださり、救われてない者にも、救われていて悔い改める者にも、主なる神さまは、赦しと救いの豊かな恵みをお与えになられ、私たちは決して失望させられることはないのです。

3、ホセアの結論(ホセア14章9節)
 14章9節を読みます。

14:9 知恵のある者はだれか。その人にこれらのことを悟らせよ。悟りある者はだれか。その人にこれらのことを知らせよ。主の道は直く、正しき者はこれを歩む。しかし罪びとはこれにつまずく。

 ここで《知恵のある者》《悟りある者》とは、この世で社会的に称賛されたり、成功したりした人のことではありません。

 日々主のお言葉に従い主の道を歩む者、主のご計画、主のみこころを選び歩んでいく者のことです。主の御心を求めず、主に背く者はつまずくのです。

 ホセアはそのために、いつでも主に立ち帰ることの大切さを、北イスラエルの民と南ユダの民に、そして現代に生きる私たちにも伝えています。

2023年7月16日(日)
ニホン・ネットキリスト教会
メッセンジャー:香川尚徳

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