ショートメッセージ【エステル①】

エステル記1章-2章4節
(働く神の御手)

1、アハシュエロス(クセルクセス)王について
2、王妃ワシテの悲劇
3、働く神の御手

 明けましておめでとうございます。共に、礼拝し聖書の学びができる幸いを感謝いたします。2024年もよろしくお願いいたします。

 先週、2023年12月31日(日)の礼拝メッセージでダニエル・シリーズが終わり、2024年最初の日曜日の今日から6回に分けてエステル記を学びます。

 エステル記の時代は、エズラ記とネヘミヤ記のバビロン捕囚後の出来事ですが、ロケーションが違います。
 エズラ記とネヘミヤ記は、バビロンからペルシャになったバビロンの地域からエルサレムに戻ってきた、エルサレムとユダヤ地方にいるユダヤ人たちの事を記しているのに対して、エステル記は、ユダヤ地方に帰還していないユダヤ人たちのことを記しています。

 エステル記の特徴は、“雅歌”と同じく、聖書に登場する主なる神さまが登場しません。また、“ルツ記”と同じく女性の名前が冠された書簡です。

1、アハシュエロス(クセルクセス)王について
 エステル記1章1-5節を読みます。

1:1 アハシュエロスすなわちインドからエチオピヤまで百二十七州を治めたアハシュエロスの世、
1:2 アハシュエロス王が首都スサで、その国の位に座していたころ、
1:3 その治世の第三年に、彼はその大臣および侍臣たちのために酒宴を設けた。ペルシャとメデアの将軍および貴族ならびに諸州の大臣たちがその前にいた。
1:4 その時、王はその盛んな国の富と、その王威の輝きと、はなやかさを示して多くの日を重ね、百八十日に及んだ。
1:5 これらの日が終った時、王は王の宮殿の園の庭で、首都スサにいる大小のすべての民のために七日の間、酒宴を設けた。

 アハシュエロスの治めるペルシャ王国は、それぞれの州ごとに軍団性を敷く世界最大の国でした。以前のバビロン王国のようなすべてが王のトップダウンの国ではなく、法令によって支配する体制であることが特徴です。

 各州に首長がいて、権限が与えられていますので、組織的に機能しやすいのですが、言い換えれば王の権限は少し弱いと言えます。

 さて、4節には180日に及ぶ大宴会があったことが書かれています。これは王の権威を示すことや自己顕示欲を満たすだけではなく、州の首長たちの忠誠を試したり、首長たちとのコミュニケーションをとったりするためのものです。

 さらに、5節に首都スサにいる民のためにも7日間の宴会を行っています。民の税によって行っている酒宴ですから、民のためではなく、王の権威示していることも考えられますし、また、《首都スサにいる大小のすべての民のために》と書かれていますから、180日間にわたる大臣たちや貴族との酒宴(懇談を兼ねた)は、遠方から多くの地方の高官が行き来し滞在しましたので、そのために労をねぎらったことも考えられます。
 1章9節を読みます。

1:9 王妃ワシテもまたアハシュエロス王に属する王宮の内で女たちのために酒宴を設けた。

 王妃に仕える女たちは、州の首長や貴族たちの親類を召し仕えさせているでしょうから、王妃ワシテの主催で酒宴を行って王の権威を示し、忠誠を誓わせる機会だったと考えられます。そして、男性と女性の宴会は別だったことがわかります。

2、王妃ワシテの悲劇
 しかし、この宴会の時に悲劇が起こります。1章10-12節です。

1:10 七日目にアハシュエロス王は酒のために心が楽しくなり、王の前に仕える七人の侍従メホマン、ビズタ、ハルボナ、ビグタ、アバグタ、ゼタルおよびカルカスに命じて、
1:11 王妃ワシテに王妃の冠をかぶらせて王の前にこさせよと言った。これは彼女が美しかったので、その美しさを民らと大臣たちに見せるためであった。
1:12 ところが、王妃ワシテは侍従が伝えた王の命令に従って来ることを拒んだので、王は大いに憤り、その怒りが彼の内に燃えた。

 当時の女性は、人権が無いに等しいと言えます。そのような中で、王が命じたにもかかわらず王妃ワシテは拒否したのです。今の私たちが見れば人権侵害の大事件に見えますが、当時の見方をすれば、むしろ王に恥をかかせる行為としか見えないわけです。

 何のために宴会をしているかと言えば、王の権威を示すために諸州の首長たちや貴族、また民の忠誠を試したり、首長たちとのコミュニケーションをとったりするためのものです。
 その政治的な意図を汲まないワシテの行動が王を怒らせたのです。
 そこで王は国の大臣たちを集めてどうすればよいのかを考えます。大臣の一人のメムカンが次のように言いました。1章16-20節です。

1:16 メムカンは王と大臣たちの前で言った、「王妃ワシテはただ王にむかって悪い事をしたばかりでなく、すべての大臣およびアハシュエロス王の各州のすべての民にむかってもしたのです。
1:17 王妃のこの行いはあまねくすべての女たちに聞えて、彼らはついにその目に夫を卑しめ、『アハシュエロス王は王妃ワシテに、彼の前に来るように命じたがこなかった』と言うでしょう。
1:18 王妃のこの行いを聞いたペルシャとメデアの大臣の夫人たちもまた、今日、王のすべての大臣たちにこのように言うでしょう。そうすれば必ず卑しめと怒りが多く起ります。
1:19 もし王がよしとされるならば、ワシテはこの後、再びアハシュエロス王の前にきてはならないという王の命令を下し、これをペルシャとメデアの法律の中に書きいれて変ることのないようにし、そして王妃の位を彼女にまさる他の者に与えなさい。
1:20 王の下される詔がこの大きな国にあまねく告げ示されるとき、妻たる者はことごとく、その夫を高下の別なく共に敬うようになるでしょう」。

 このように、王妃ワシテは失脚し王のメンツは保たれたのでした。また、ペルシャとメデアの法律の中に無い、新たな男尊女卑の秩序を守る事をメムカンは進言したのでした。その結果、1章21-22節です。

1:21 王と大臣たちはこの言葉をよしとしたので、王はメムカンの言葉のとおりに行った。
1:22 王は王の諸州にあまねく書を送り、各州にはその文字にしたがい、各民族にはその言語にしたがって書き送り、すべて男子たる者はその家の主となるべきこと、また自分の民の言語を用いて語るべきことをさとした。

3、働く神の御手
 さて、その後のこと見てみましょう。2章1-4節です。

2:1 これらのことの後、アハシュエロス王の怒りがとけ、王はワシテおよび彼女のしたこと、また彼女に対して定めたことを思い起した。
2:2 時に王に仕える侍臣たちは言った、「美しい若い処女たちを王のために尋ね求めましょう。
2:3 どうぞ王はこの国の各州において役人を選び、美しい若い処女をことごとく首都スサにある婦人の居室に集めさせ、婦人をつかさどる王の侍従ヘガイの管理のもとにおいて、化粧のための品々を彼らに与えてください。
2:4 こうして御意にかなうおとめをとって、ワシテの代りに王妃としてください」。王はこの事をよしとし、そのように行った。

 2章1節《これらのことの後、アハシュエロス王の怒りがとけ、》とあります。2章16節を読みますと《エステルがアハシュエロス王に召されて王宮へ行ったのは、その治世の第七年の十月、》とありますから、ワシテの失脚から数年経っています。そして、この間、ペルシャはギリシヤ侵攻し大敗したと言われています。

 そのような失意の中で、アハシュエロス王は、美しいワシテのことを思い出していたかもしれません。侍従たちは、寂しさを漂わせる王を見るに忍びなかったのでしょう。
 新しく美女を探し王妃にすることを提案すると、アハシュエロス王はすぐに許可を出しました。

 さて、ここまでアハシュエロスのことを見てきました。どうやら王としての資質はあまり優れているとは言えない人のようです。
 酒に酔い、身勝手な行動をしたことにより王妃ワシテを失脚させることになりました。大臣たちの手腕によって政治的な危機は回避されているのですが、結局は、この事件の責任は、王の無責任な行動から出たに過ぎません。

 次の王妃も美しさだけを求めていることからもわかります。侍従たちは王とともにいるわけですから、王の気持ちを代弁したに過ぎません。また、同じようなことが起こるかもしれないという反省も見られません。
 しかし、このような状況の中で、神さまの見えない手は、捕囚されてきたイスラエル人たちを台頭させていきます。

 神さまはご自身を証しするため、ご自身の民を守るため、歴史の中で働かれることを残り5回、このエステル記から学べれば幸いです。

2024年1月7日(日)
ニホン・ネットキリスト教会
メッセンジャー:香川盛治

【気が楽な教会を探しておられる兄弟姉妹へ】
 以前、日曜日に教会へ通っておられたのに離れてしまった方々へ。理由は、いろいろあると思いますが、それより、「もう一度、教会へ行ってみたいなぁ~」「礼拝へ出たいなぁ~」「賛美したい♪」「人と話すの苦手だけど礼拝に出席したい」と思われている方、ネットで礼拝に出席されませんか。
 ネットの気楽さと感染症予防の観点から、礼拝と聖書の学びが出来るよう準備しました。
 ご興味ある方は、お問合せフォームからご連絡下さい。折り返し、zoomのご案内させていただきます。 

【教会や聖書にご興味のある方へ】
 教会は、人がこの世に生まれた時から天に召される時まで、すべての時が神の導きと祝福の内にあることを実感するところです。そして、聖書は人生の処方箋とも言えます。人生に行き詰まりを感じることや、疲れをおぼえる時は、先ず休むことです。明日のことは、明日にならないとわかりません。明日に備えてグッスリ眠るほうが健康的です。
 教会や聖書の書かれていることに、ご興味ある方は、お問合せフォームからご連絡下さい。折り返し、zoomのご案内させていただきます。