ショートメッセージ【サウル⑧】
サムエル記下31章とサムエル記上1章17-27節
(サウルの死)
1、狙い撃ちと自死(31:1‐7)
2、ヤベシュ・ギルアデの住民による埋葬(31:8‐13)
3、サウルシリーズの終わりに
1、狙い撃ちと自死(31:1‐7)
31章では、イスラエルの敗北が書かれています(1)。サウルの息子4人のうち、イシボセテを除き、3人が共に戦死します(2)。サウルは、ペリシテの集中攻撃を受け、致命傷を負わされたので、敵に捕まり陵辱を受けるよりはと思い、武器を執る部下の手で殺されることを望むが、部下は恐れの余り手を下すことが出来ません。そこで、ついにサウルは剣の上に倒れ伏して自殺します(3‐4)。
31:3 戦いは激しくサウルに迫り、弓を射る者どもがサウルを見つけて、彼を射たので、サウルは射る者たちにひどい傷を負わされた。
31:4 そこでサウルはその武器を執る者に言った、「つるぎを抜き、それをもってわたしを刺せ。さもないと、これらの無割礼の者どもがきて、わたしを刺し、わたしをなぶり殺しにするであろう」。しかしその武器を執る者は、ひじょうに恐れて、それに応じなかったので、サウルは、つるぎを執って、その上に伏した。
武器を執る部下も同じく王の後を追いました(5)。谷の向こう側、およびヨルダンの向こう側いたイスラエル人も、ヨルダン川の東側にいたイスラエル人も、戦況を知って逃走し、その後をペリシテ人が占領し、そこに住むようになりました(7)。イスラエルの完敗でした。
2、ヤベシュ・ギルアデの住民による埋葬(31:8‐13)
激しい戦いの翌日、ペリシテ人は戦場へ出かけて行き、サウルとその3人の息子たちの死体を見つけました。
31:9 彼らはサウルの首を切り、そのよろいをはぎ取り、ペリシテびとの全地に人をつかわして、この良い知らせを、その偶像と民とに伝えさせた。
彼らはサウルの首を切り、武具をはぎ取り、この朗報をペリシテの偶像と民とに伝えさせました。偶像の民にとっては、神の民の敗北は「良い知らせ」なのです。
歴代誌上10章10節
そしてサウルのよろいかぶとを彼らの神の家に置き、首をダゴンの神殿にくぎづけにした。
サウルの首は、ダゴン神殿にさらされ、残りの死体はヨルダン川から5㎞くらい西に入ったベテシャンの城壁に打ち付けられました。そして、武具はアシタロテ神殿に置きました(サム上31:10)。
以前サウルによって苦境から救い出されたヤベシ・ギレアデの住民たちは(サム上11章)、勇士たちを遣わし、サウルと息子たちの死体を奪い帰りました。彼らは距離にして2-30kmほどの道のりを歩いてヨルダンの向う側まで行き、この美事なことを成し遂げたのです(サム上31:12)。ヤベシに運んで火葬し、《その骨を取って、ヤベシのぎょりゅうの木の下に葬り》、彼らは、サウルとその息子たちの死を悼み、7日間断食して敬意と哀悼の意を表しました(サム上31:13)。
3、サウルシリーズの終わりに
サムエル記上14章47-48節を読みます。
14:47 サウルはイスラエルの王となって、周囲のもろもろの敵、すなわちモアブ、アンモンの人々、エドム、ゾバの王たちおよびペリシテびとと戦い、すべて向かう所で勝利を得た。
14:48 サウルは勇ましく働き、アマレクびとを撃って、イスラエルびとを略奪者の手から救い出した。
旧約聖書のサウルの評価は、
歴代誌上10章13-14節
10:13 こうしてサウルは主にむかって犯した罪のために死んだ。すなわち彼は主の言葉を守らず、また口寄せに問うことをして、
10:14 主に問うことをしなかった。それで主は彼を殺し、その国を移してエッサイの子ダビデに与えられた。
です。
サウルは、よく戦いました。よい働きも多く残しました。サムエル記上の14章52節にサウルの人生をひと言で要約しています。《サウルの一生の間、ペリシテびとと激しい戦いがあった。》王となって、敵との激しい戦いです。イスラエルの民の王として最期まで戦いました。しかし、神さまにあっては、不従順、妬み、独り善がりにより戦死しました。
サムエル記上13章で、ヨナタンがゲバのペリシテ人の守備兵を倒しました(3)。すると、ペリシテ人は、イスラエル人と戦うために、戦車三千、騎兵六千、兵士は海辺の砂のように多くの兵士がミクマシに陣を張りました(5)。ギルガルにいたイスラエルの兵たちは、危険を感じ、身を隠す者やヨルダン川を渡り逃げた者たちもいました。しかし、サウルとサウルに従った兵たちはサムエルが命じたとおり7日間待ちました(7-8)。ペリシテ人たちが陣を張ったミクマシとサウルたちが留まっていたギルガルまでは約15kmです。情報が入っていたのでしょう。サウルに従う者は皆、震えていました。7日目に約束したサムエルが来ないので兵士はサウルの散り始めていました(8)。
その時のサウルの心境はどのようなものだったでしょう。
ペリシテ人の軍勢に恐れを抱く兵士たち。敵陣は約15km先に陣を張っています。
サウルがいくら勇敢であっても冷静に考えれば、ペリシテ人の軍勢に勝てるはずがありません。そこに約束したサムエルが来ないのです。
9節で《そこでサウルは言った、「燔祭と酬恩祭をわたしの所に持ってきなさい」。こうして彼は燔祭をささげた。》とサムエルが行うべき祭司の燔祭と酬恩祭をしてしまいました。
逃げない兵士たちと共にサウルは7日間待ち続けたのです。サウルは、サムエルは失念してか、もう来ないのだろうと判断したのでしょう。だから、7日間まって祭儀をしたのでしょう。
そして、祭儀が終わったタイミングで、祭司であるサムエルが来ました。
13:11 その時サムエルは言った、「あなたは何をしたのですか」。サウルは言った、「民はわたしを離れて散って行き、あなたは定まった日のうちにこられないのに、ペリシテびとがミクマシに集まったのを見たので、
13:12 わたしは、ペリシテびとが今にも、ギルガルに下ってきて、わたしを襲うかも知れないのに、わたしはまだ主の恵みを求めることをしていないと思い、やむを得ず燔祭をささげました」。
皆さんは、このサウルの説明を聞いてどう思われますか。
サウルシリーズの3回目「1、待ちきれなかった王サウル」では、杓子定規に待ちきれなくて、言い逃れをしたと言いましたが、サウルは嘘ではなく、本当にそう思って祭儀を行ったと思われます。
この事で、サムエルから《「あなたは愚かなことをした。」》と告げられました。
次に、15章3節のサムエルからの命令に対して、
《 今、行ってアマレクを撃ち、そのすべての持ち物を滅ぼしつくせ。彼らをゆるすな。男も女も、幼な子も乳飲み子も、牛も羊も、らくだも、ろばも皆、殺せ』」。》
15章9節で、
《しかしサウルと民はアガグをゆるし、また羊と牛の最も良いもの、肥えたものならびに小羊と、すべての良いものを残し、それらを滅ぼし尽すことを好まず、ただ値うちのない、つまらない物を滅ぼし尽した。》とサウルは、上司であるサムエルの命令に背いて自分の判断で行動しました。
とても独善的です。と言うのは、上の立場の命令に従うより、自分の価値感や情けで行動することです。見方によればサウルは罪を犯していないように見えます。この件も、先の15章9節や15章15節の《サウルは言った、「人々がアマレクびとの所から引いてきたのです。民は、あなたの神、主にささげるために、羊と牛の最も良いものを残したのです。そのほかは、われわれが滅ぼし尽しました」。》を切り取ってみれば、サウルの言っていることは正しく聞こえます。
ついつい、私も役職を与えられると自分の権限を越える考えや行動に移す場面があります。しかし、組織では許されません。イスラエルの国では、地位的にサウル王は3番目のなのです。
当時、サウルに指示を出す権威の序列の1番目は主なる神さま。2番目は祭司サムエル。そしてサウル王なのです。この序列を忘れてはいけません。
権威を与えられたからと言って、真面目だからと言って、上からの指示を自分勝手に判断して不従順を行えば、積み重ねると命取りになります。あわれみ深い主(神さま)も、最後にはさばきを行われます。
聖書の解説本などを読んで他人事のようにサウルの失敗を侮ると、私たちも同じように失敗するでしょう。心に刻んでおきたい人物です。
最後にサムエル記下1章17-27節、ダビデの哀歌を読んで終わります。
1:17 ダビデはこの悲しみの歌をもって、サウルとその子ヨナタンのために哀悼した。――
1:18 これは、ユダの人々に教えるための弓の歌で、ヤシャルの書にしるされている。――彼は言った、
1:19 「イスラエルよ、あなたの栄光は、/あなたの高き所で殺された。ああ、勇士たちは、ついに倒れた。
1:20 ガテにこの事を告げてはいけない。アシケロンのちまたに伝えてはならない。おそらくはペリシテびとの娘たちが喜び、/割礼なき者の娘たちが勝ちほこるであろう。
1:21 ギルボアの山よ、/露はおまえの上におりるな。死の野よ、/雨もおまえの上に降るな。その所に勇士たちの盾は捨てられ、/サウルの盾は油を塗らずに捨てられた。
1:22 殺した者の血を飲まずには、/ヨナタンの弓は退かず、/勇士の脂肪を食べないでは、/サウルのつるぎは、むなしくは帰らなかった。
1:23 サウルとヨナタンとは、愛され、かつ喜ばれた。彼らは生きるにも、死ぬにも離れず、/わしよりも早く、/ししよりも強かった。
1:24 イスラエルの娘たちよ、サウルのために泣け。彼は緋色の着物をもって、/はなやかにあなたがたを装い、/あなたがたの着物に金の飾りをつけた。
1:25 ああ、勇士たちは戦いのさなかに倒れた。ヨナタンは、あなたの高き所で殺された。
1:26 わが兄弟ヨナタンよ、あなたのためわたしは悲しむ。あなたはわたしにとって、いとも楽しい者であった。あなたがわたしを愛するのは世の常のようでなく、/女の愛にもまさっていた。
1:27 ああ、勇士たちは倒れた。戦いの器はうせた」。
2023年1月29日(日)
ニホン・ネットキリスト教会
メッセンジャー:戀田寛正
【以前教会へ集っておられた兄弟姉妹へ】
以前、日曜日に教会へ通っておられたのに離れてしまった方々へ。理由は、いろいろあると思いますが、それより、「もう一度、教会へ行ってみたいなぁ~」「礼拝へ出たいなぁ~」「賛美したい♪」と思っている方、ネットで礼拝に出席されませんか。
ネットの気軽さとコロナ感染の予防の観点から、礼拝と聖書の学びが出来るよう準備しました。
ご興味ある方は、お問合せフォームからご連絡下さい。折り返し、こちらからご連絡させていただきます。
【思い悩みのある方へ】
教会は、人がこの世に生まれた時から天に召される時まで、すべての時が神の導きと祝福の内にあることを実感するところです。そして、聖書は人生の処方箋とも言えます。人生に行き詰まりを感じることや、疲れをおぼえる時は、先ず休むことです。明日のことは、明日にならないとわかりません。明日に備えてグッスリ眠るほうが健康的です。
教会や聖書の書かれていることに、ご興味ある方は、お問合せフォームからご連絡下さい。折り返し、こちらからご連絡させていただきます。