ショートメッセージ【ヨナ②】

ヨナ書2章
（祈りとは何だろう・・・）

1、ヨナのきれいな祈りから
2、吐き捨てられるヨナから

1、ヨナのきれいな祈りから
　前回は、ヨナが預言の仕事を放り出してタルシシというところに逃げようとする記事を見ました。しかし神さまは、そのことを軽んじられることなく、ヨナにイスラエル人預言者として神さまへの姿勢を省みさせ、そして職務復帰を促します。
　その一つ目として海に捨てられたヨナに大きな魚を備えて彼を飲み込ませ、自分の考えの誤りを認めさせようとします。
　その時のヨナの祈りを見ましょう。2章2-9節です。

2:2 言った、「わたしは悩みのうちから主に呼ばわると、主はわたしに答えられた。わたしが陰府の腹の中から叫ぶと、あなたはわたしの声を聞かれた。
2:3 あなたはわたしを淵の中、海のまん中に投げ入れられた。大水はわたしをめぐり、あなたの波と大波は皆、わたしの上を越えて行った。
2:4 わたしは言った、『わたしはあなたの前から追われてしまった、どうして再びあなたの聖なる宮を望みえようか』。
2:5 水がわたしをめぐって魂にまでおよび、淵はわたしを取り囲み、海草は山の根元でわたしの頭にまといついた。
2:6 わたしは地に下り、地の貫の木はいつもわたしの上にあった。しかしわが神、主よ、あなたはわが命を穴から救いあげられた。
2:7 わが魂がわたしのうちに弱っているとき、わたしは主をおぼえ、わたしの祈はあなたに至り、あなたの聖なる宮に達した。
2:8 むなしい偶像に心を寄せる者は、そのまことの忠節を捨てる。
2:9 しかしわたしは感謝の声をもって、あなたに犠牲をささげ、わたしの誓いをはたす。救は主にある」。

　2章2-9節を簡単にまとめますと、
　2-6節は海の中でいのちを助けてくれた神さまに感謝しています。
　7節は神さまと神殿を思いだし、
　8節で偶像のむなしさを語り、
　9節で、海で助けてくれたことを感謝し、職務を全うすることを誓う、といったところでしょうか。

　詩的な大変きれいな祈りですが、思い出してほしいことがあります。
　1章2節で、神さまのご命令がヨナに下り、1章3節で、神さまのご命令から逃れるため、無断でタルシシ行きの船に乗りました。

　それでは、神さまはなぜ、絶体絶命の中でヨナに魚を備えたのかです。
　それは、職務復帰については応じたものの、神さまへの悔い改め、反省と言ってもいいと思いますが、それらは、どこにも触れていません。むしろ、きれいな祈りであるがゆえに、着飾った反省のない大変失礼なことを言っているようにも聞こえます。また、きれいな言葉を使って実質は「わかったから早く、この魚から出してよ。」と言っているだけのようにも聞こえるわけです。

　サウル編で、サウルが2度ほどサムエルに言い訳をしている記事がありますが、とてもきれいでわかりやすく理由もしっかり弁明いているものの、神さまは、サウルを王として退けることになります。ヨナの祈りと共通しているのは、どこにも自らの悔い改め、反省がない点です。
　ダビデは、バテシバの罪を犯したときの箇所を見ましょう。
サムエル記下12章13節です。

12:13 ダビデはナタンに言った、「わたしは主に罪をおかしました」。ナタンはダビデに言った、「主もまたあなたの罪を除かれました。あなたは死ぬことはないでしょう。

　本当に悔いている者の祈りは決してきれいなものではありません。むしろ、自分に絶望している姿が見えるのではないでしょうか。

2、吐き捨てられるヨナから
　2章10節を見ましょう。

2:10 主は魚にお命じになったので、魚はヨナを陸に吐き出した。

　よくある解釈に、神さまが、ヨナの悔い改めの祈りによって赦してあげた。というものが多いですが、今回、見てきたように、決してそうだとは思えません。
　赦したというよりは、もうどうしようもないので、吐き出すしかなかった。という様子と言えるでしょうか。
　この「吐き出す」という原語は「赦す」という言葉とは程遠いことを覚えていただきたいと思います。少し予習となりますが、3章1-2節を読みます。

3:1 時に主の言葉は再びヨナに臨んで言った、
3:2 「立って、あの大きな町ニネベに行き、あなたに命じる言葉をこれに伝えよ」。

　神さまがもう一度命じなければならないほどに、ヨナは何も変わっていないわけです。
　祈りは、呼吸に例えられることが多いですが、神さまへの信仰や改めのない祈りと似て非なるものは、当然、神さまに喜ばれるものではありません。

　1章で出てきた律法を知らない水夫たちは、図らずも申命記に書いてある律法の言葉によって、神さまに祈り求めている姿とは真逆のものと言ってよいでしょう。どちらが神さまの前に真実な神の民であったのかは容易に判断できますね。

　現代においても「自分はクリスチャンであるから」とか、「私は、神さまと祈っているから」と立場と形だけ整えているクリスチャンが多いのかもしれません。神さまと自分との関係をよく考えて祈る者になりたいものです。

2023年7月30日（日）
ニホン・ネットキリスト教会
メッセンジャー：香川盛治

『大魚に吐き出されたヨナ』（ギュスターヴ・ドレ）

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