「Amazing Grace」

 皆さんこんにちは、「聖書からのワンポイント」の清水浩治です。今日のお話のタイトルは、アメイジング・グレイスです。アメイジング・グレイスは、多くの人によって知られている曲であります。この曲の背景について、考えていきましょう。

 少し前になりますが、アメイジング・グレイスは本田美奈子さんによって歌われていたのを思い出す方も多いのではないでしょうか。彼女をはじめ、この曲を歌っている人たちは英語の歌詞で歌っているので、この曲の歌詞の意味を知る人は少ないように思われます。

 もちろん聖歌等にもこの歌は含まれていてよく歌われますが、訳された日本語で歌うのは、ほとんど教会の礼拝などの集会においてであって、一般的に歌われるケースは少ないものと思われます。

 FM ChappyのYouTubeにあげられている昨年のクリスマスに関するお話でも説明していますが、教会で歌われる讃美歌の種類として、神を賛美する目的において作られた曲が多いのは言うまでもありません。しかし、一般の曲、例えば様々な国の地域で歌われているFolk Songのメロディーが用いられて、歌詞については神を賛美する歌詞が後付けで、つけられる事実があるのです。クリスマスキャロルとして歌われている「みつかいのたたえ歌う」は、元の曲がGreensleevesであるなどがその例であります。

 この曲に関して言えば、アメリカ民謡と記されているもの、イギリス民謡と記されているものなど、出典が特定できていないように感じます。わかっているのは、このメロディーが一般の曲から取られたこと、後になって、神を賛美する歌詞がJohn Newtonによって付けられたこと、そして、人の心を打つ美しい曲であるということです。

 作詞者のJohn Newtonについてみていきたいと思います。よくIsaac Newtonと間違われることがあるようですが、万有引力のNewtonとは別人であります。John Newtonは、大変聡明な人物であり、6歳の時にラテン語を学び始めるほどの力がありました。彼の母親はとても敬虔なクリスチャンであり、息子のJohnに対して熱心に信仰の話をして聞かせました。ところが、彼女は体が弱く、Johnが7歳になる前に亡くなってしまうのでした。
 彼の父親は船乗りで、やがて息子のJohnを航海に連れて行くようになります。それだけではなく、彼は軍艦に乗ったり、様々な仕事をしている中で、アフリカに行き、黒人を奴隷として連れてくるような仕事にかかわってしまうのでした。彼の伝記が1764年に出版されていますが、伝記に書かれている内容は、彼自身が書いたものではあるものの、神学博士のハウェイス氏にあてて書かれた手紙の内容が、彼の伝記としてまとめられ、残っているのです。

 彼の人生における様々な経験を語ることはできませんので、彼自身が死を迎える前に、自分で墓石に彫るように願って残した文章が、彼の人生を物語っていると思いますので、それを紹介したいと思います。

 牧師John Newton, かつては不信心者であり、放蕩者、アフリカの奴隷売買に関わっていた者が、主であり、救い主であるイェス・キリストの深いあわれみにより、守られ、神との関係を回復され、罪を赦された。そればかりか、長い間自分が破壊しようと心に思っていた信仰を、語る者になるように神により任命された。

彼の書いたAmazing Graceの歌詞、一番だけですが、紹介したいと思います。
  Amazing grace—how sweet the sound that saved a wretch like me!
  I once was lost but now am found, Was blind but now I see

  私のような哀れな(惨めな)者を救う「驚くばかりの恵み」とは、
  なんとすばらしい響きなのだろう。
  私はかつて、神の前に失われていたが、見出され、(霊的に)心は
  閉ざされていたが、見えるようになったのだ。

 お時間になりました。また、来月のこの時間に、聖書からのワンポイントでお会いしましょう。お聴きいただき、ありがとうございます。

2022.4.8
ラジオ・ティーチング・ミニストリー「聖書からのワンポイント」
「たましいの安らぎ」
牧師:清水浩治