ショートメッセージ【ヨセフ①】

創世記37章
1、ヤコブの溺愛とえこひいき
2、ヨセフの誠実さと兄たちの嫉妬
3、起こった事件から学ぶもの

1、ヤコブの溺愛とえこひいき

創世記
37:2 ヤコブの子孫は次のとおりである。ヨセフは十七歳の時、兄弟たちと共に羊の群れを飼っていた。彼はまだ子供で、父の妻たちビルハとジルパとの子らと共にいたが、ヨセフは彼らの悪いうわさを父に告げた。
37:3 ヨセフは年寄り子であったから、イスラエルは他のどの子よりも彼を愛して、彼のために長そでの着物をつくった。
37:4 兄弟たちは父がどの兄弟よりも彼を愛するのを見て、彼を憎み、穏やかに彼に語ることができなかった。

 本日のメッセージタイトルにもありますように、これからヨセフの話をしていくのですが、2節には、《ヤコブの子孫は次のとおりである。》と書かれています。他の聖書(新改訳2017)では、〈これはヤコブの歴史である。〉と、直訳に近い表現をしています。さらにヤコブの責任の中の話であることをモーセは伝えています。

 これから見て行けばわかるのですが、ヨセフは、ヤコブやその息子たちが原因で不幸に見舞われて行き、さらにヤコブ一家の歩みが危機に遭遇していく話だからです。しかし、辛い目に遭うヨセフの信仰によってヤコブ一家が助けられるという何とも不思議な物語でもあります。

 さて、3-4節を見ましょう。《ヨセフは年寄り子であったから、イスラエルは他のどの子よりも彼を愛して、彼のために長そでの着物をつくった。兄弟たちは父がどの兄弟よりも彼を愛するのを見て、彼を憎み、穏やかに彼に語ることができなかった。》
 どこの家庭にでも、お見受けする問題かもしれませんね。親も子も人間ですから、合う合わないことがあるのは当然でしょう。子育ては、その時代や文化によってある程度の道筋はあるかもしれませんが、マニュアルはないのです。ですから子育ては、大変なことなのです。

 しかし、この点から教えられることは、できるだけ子どもたちを分け隔てることなく関わらなければならないと言うことがわかります。人間は、比較する生き物ですから、3人以上の組織になると、決まり事や公平性というものが大切であることは、どの時代・文化にも必要だとわかります。

 この時代、父親の存在は絶対です。そういう権威や力を持てば、組織を束ねるために公平な心配りが必要であったということです。ヤコブ自身、父イサクが兄エサウを、母リベカがヤコブをえこひいきすることで大きな問題になったのですが、その教訓を生かすことができていません。

 このことから、規則という決まりごとがなければ、たとえ父親が偉大であっても一家を治めることができないものなのです。聖書には、このような事例を多く取り扱い、人々の営みを通して赤裸々に書かれています。

 モーセは、神さまのお言葉を基準とすることと、隣人を愛する平等性をここで伝えたかったのではないでしょうか。

2、ヨセフの誠実さと兄たちの嫉妬
 お兄さんたちの嫉妬を買ったヨセフですが、さらにお兄さんたちの嫉妬を買うことになる出来事が起こります。創世記37:5-8を読みます。

37:5 ある時、ヨセフは夢を見て、それを兄弟たちに話したので、彼らは、ますます彼を憎んだ。
37:6 ヨセフは彼らに言った、「どうぞわたしが見た夢を聞いてください。
37:7 わたしたちが畑の中で束を結わえていたとき、わたしの束が起きて立つと、あなたがたの束がまわりにきて、わたしの束を拝みました」。
37:8 すると兄弟たちは彼に向かって、「あなたはほんとうにわたしたちの王になるのか。あなたは実際わたしたちを治めるのか」と言って、彼の夢とその言葉のゆえにますます彼を憎んだ。

 ヨセフは、兄たちへ配慮して話すべきだったという見解があります。しかし母親がバラバラの環境下で育った兄弟たち。
 ヨセフはこの時17歳の青年でしたから、今で言うと高校2年生くらいでしょうか。青年期に移行して間がありません。発達心理学上の用語としては、児童期と成人期との中間の時期、男子では14、15歳から24、25歳くらいまでを言います。古代の若者であったにせよ、どこまで夢のことを兄たちへ配慮して話すことができるでしょうか。特に古代人は、心に思うことを口にすることは当たり前の時代であったようです。

 つまり、お伝えしたいことは、ヨセフはこの当時では裏表のない、まだ17歳の青年にすぎなかったという認識でよいと思います。夢をみたことを直接伝えただけです。
 問題なのは、父ヤコブのえこひいきです。

 重要なことは、37章5~8節と次に見る9~11節です。ヨセフは自身が見た2つの夢を兄たちや父ヤコブへ話しているという事です。記者モーセは、この夢はヤコブ一家にとって大きなターニングポイントとなっていることを伝えたかったと見るべきでしょう。さらにこの一家の発展は、神さまの大きな働きが背後にあったことを示したかったのではないでしょうか。

 もう一度37:5-8を読みます。

37:5 ある時、ヨセフは夢を見て、それを兄弟たちに話したので、彼らは、ますます彼を憎んだ。
37:6 ヨセフは彼らに言った、「どうぞわたしが見た夢を聞いてください。
37:7 わたしたちが畑の中で束を結わえていたとき、わたしの束が起きて立つと、あなたがたの束がまわりにきて、わたしの束を拝みました」。
37:8 すると兄弟たちは彼に向かって、「あなたはほんとうにわたしたちの王になるのか。あなたは実際わたしたちを治めるのか」と言って、彼の夢とその言葉のゆえにますます彼を憎んだ。

 次に37:9-11へ読みます。

37:9 ヨセフはまた一つの夢を見て、それを兄弟たちに語って言った、「わたしはまた夢を見ました。日と月と十一の星とがわたしを拝みました」。
37:10 彼はこれを父と兄弟たちに語ったので、父は彼をとがめて言った、「あなたが見たその夢はどういうのか。ほんとうにわたしとあなたの母と、兄弟たちとが行って地に伏し、あなたを拝むのか」。
37:11 兄弟たちは彼をねたんだ。しかし父はこの言葉を心にとめた。

 この2つの夢は同じ意味ですね。父ヤコブはヨセフを叱りますが、夢を見たこと自体は心にとめています。やがて、この夢は長い年月を経て、エジプトにおいて事実となってしまいます。
 結果として、神さまがヨセフの夢を通して見せた預言と言えます。

 しかし、この時の兄弟たちが、怒るのは無理もありません。父からえこひいきされているヨセフ。そのえこひいきしている弟・ヨセフに仕えなければならないといったことなど受け入れることはできなかったということです。ただ、兄たちの嫉妬心も許されるものではありません。

3、起こった事件から学ぶもの
 創世記37章17節から37章の最後の36節まで読みますと、兄たちの恨みを買い続けたヨセフは、兄たちの策略によって捕らえられ、殺されそうになります。しかし、殺すのはやめようと話し合いがあり、ヨセフはエジプト行きの商人に売られてしまいます。兄たちは父ヤコブにはヨセフは獣に食い殺されたように見せました。当時の完全犯罪が行われたということですね。

 なぜこのようなことが起こったのかをまとめます。まずは、父ヤコブのえこひいきです。家庭であれ、もちろん仕事であれ、組織を保っていくことは指導者の役割です。その時に求められるリーダーシップの一つが平等性を重視することです。そのためにも律法という規則はとても大切になります。記者モーセがイスラエル人に伝えたいことの大きなポイントになります。

 また、ヨセフの兄たちはどうでしょうか。やはり彼らにも咎(とが)はあります。
 私は彼らの先祖であるカインとアベルの記事を思い出します。神さまがカインの献げものを受け取らなかったときに、カインにいった御言葉です。

創世記4:6-7です。

4:6 そこで主はカインに言われた、「なぜあなたは憤るのですか、なぜ顔を伏せるのですか。
4:7 正しい事をしているのでしたら、顔をあげたらよいでしょう。もし正しい事をしていないのでしたら、罪が門口に待ち伏せています。それはあなたを慕い求めますが、あなたはそれを治めなければなりません」。

 もし、ヤコブの教育によって、兄たちが神さまを慕い求める関係を築いていれば、このような悲劇はなかったかもしれません。今の私たちも同じような環境に陥ることは容易に想像できるのではないでしょうか。
 神さまを見上げて生きることは、人を愛し、自らを戒める力となることが教えられます。

2022年5月29日(日)
ニホン・ネットキリスト教会
メッセンジャー:香川盛治師

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