ショートメッセージ【モーセ⑤】

(神さまの契約と幕屋)
出エジプト記19章-40章
1、アブラハムとの約束(19章)
2、神さまとイスラエルの契約 (20-24章)
(1)契約の条件(20-23章)
3、幕屋の設計図(25-31章)
4、イスラエルの民が契約を破る(32-34章)
5、モーセが幕屋を建てる(35-40章)

1、アブラハムとの約束(19章)
 はじめに、16-18章の出来事は大切なのですが、時間の関係上、省略させて頂きます。そして、モーセシリーズの最後に一部紹介させて頂きます。

 さて前回、神さまがどのようにして奴隷にされていたイスラエル人を救い出したかを見ました。
 神さまは、パロと対決して打ち負かす一方、過ぎ越しの子羊の血による回避の道も備えられました。その後、神さまは、海の中を通らせてご自分の民を解放し荒野へと導かれました。ところが彼らは、そこで神さまに不平を言ったのです。出エジプト記の後半は、モーセがシナイ山の麓に導いたところから始まります。神さまはそこで、イスラエル民族に契約を結ぼうと呼びかけました。

19:1 イスラエルの人々は、エジプトの地を出て後三月目のその日に、シナイの荒野にはいった。
19:2 すなわち彼らはレピデムを出立してシナイの荒野に入り、荒野に宿営した。イスラエルはその所で山の前に宿営した。
19:3 さて、モーセが神のもとに登ると、主は山から彼を呼んで言われた、「このように、ヤコブの家に言い、イスラエルの人々に告げなさい、
19:4 『あなたがたは、わたしがエジプトびとにした事と、あなたがたを鷲の翼に載せてわたしの所にこさせたことを見た。
19:5 それで、もしあなたがたが、まことにわたしの声に聞き従い、わたしの契約を守るならば、あなたがたはすべての民にまさって、わたしの宝となるであろう。全地はわたしの所有だからである。
19:6 あなたがたはわたしに対して祭司の国となり、また聖なる民となるであろう』。これがあなたのイスラエルの人々に語るべき言葉である」。

 神さまが、イスラエル民族の始祖アブラハムとの約束を一歩先に進めたと言う意味で、非常に重要な場面です。創世記(12・15・17章)では、神さまがアブラハムの子孫を通して、すべての国々に対する祝福を回復すると約束されたのでした。この箇所ではさらに具体的に、もしイスラエルが神との契約を守るなら律法と教えと義によって形作られ、祭司の王国(出エジプト記19:1-6)となり、神さまのご性質を表すものとして世界中に神(創造主)を示すことになるというのです。

2、神さまとイスラエルの契約 (20-24章)
 さて、イスラエルの民は契約に同意したのでシナイ山の頂上で雲と雷の中に神さまの栄光が現れました。それからモーセが民を代表して山に登って行き、神さまは、有名な「十戒」を彼に与えました。

(1)契約の条件(20-23章)
 十戒はイスラエルと神さまの関係について最も基本的な約束です。次に、この十戒をさらに詳細に掘り下げた律法が告げられます。礼拝に関する規定や社会正義を守り、共に生きていくための律法(52の追加と戒め)で、これらは皆、正義と思いやりを重んじ、イスラエルを他の国々とは違う国とするためのものです。モーセがこれらの律法(道徳・祭儀・司法)を書き留めて降りていくと、民はこの契約を結ぶことに改めて同意しました。そこで神さまは彼らとの関係をさらに進めました。「聖」であり「善」である、神さまご自身の存在がイスラエルのただ中に住むとモーセに告げられたのです。

25:8 また、彼らにわたしのために聖所を造らせなさい。わたしが彼らのうちに住むためである。

 これはまた別の意味で神さまの契約を進展させました。人間(アダムとエバ)がエデンの園で神さまのご命令に背いたとき神さまの臨在は失われました。しかし、この時アブラハムの子孫と結ばれたこの契約を通して、この臨在が回復されるのです。

3、幕屋の設計図(25-31章)
 25-31章は、幕屋と呼ばれる神聖なテントの詳細な設計図です。幕屋にはまず祭壇を備えた中庭があり、その奥に天幕があり、その中は、手前の部屋と奥の部屋に分かれています。奥の部屋は至聖所と呼ばれ、そこには契約の箱という純金の箱が置かれています。箱は、天使のような生き物の像で覆われており、ここが神さまの臨在の中心地となります。この7つ(25-31章)の章にはたくさんの細々とした指示が書かれていますが、その一つ一つには象徴的な意味があります。各種の花、天使、金、宝石は、神さまと人が親密に暮らしていたエデンの園を象徴します。

 天幕は言わば、持ち運び可能なエデンの園と言えます。ここで神さまとイスラエルはともに平和に暮らせるはずでした。

4、イスラエルの民が契約を破る(32-34章)
 しかし、非常にまずいことが起き始めていました。イスラエルの民が契約を破ったのです。モーセが、山の頂上で神さまから天幕の設計図を受け取っている頃、麓ではイスラエルの民が、待ちきれなくなっていました。そしてついに彼らは、モーセの兄アロンに、金の子牛像を作り、それをエジプトから救い出してくれた神として礼拝しようと言い出したのです。山の頂上には神さまの臨在が見えているのに、その山の麓でイスラエルの民は、結んだばかりの契約の最初の二つの戒め、
20:3 あなたはわたしのほかに、なにものをも神としてはならない。
20:4 あなたは自分のために、刻んだ像を造ってはならない。上は天にあるもの、下は地にあるもの、また地の下の水のなかにあるものの、どんな形をも造ってはならない。

を破ろうとしているのです。
 ここで興味深いことが起こります。

32:7 主はモーセに言われた、「急いで下りなさい。あなたがエジプトの国から導きのぼったあなたの民は悪いことをした。
32:8 彼らは早くもわたしが命じた道を離れ、自分のために鋳物の子牛を造り、これを拝み、これに犠牲をささげて、『イスラエルよ、これはあなたをエジプトの国から導きのぼったあなたの神である』と言っている」。
32:9 主はまたモーセに言われた、「わたしはこの民を見た。これはかたくなな民である。
32:10 それで、わたしをとめるな。わたしの怒りは彼らにむかって燃え、彼らを滅ぼしつくすであろう。しかし、わたしはあなたを大いなる国民とするであろう」。
32:11 モーセはその神、主をなだめて言った、「主よ、大いなる力と強き手をもって、エジプトの国から導き出されたあなたの民にむかって、なぜあなたの怒りが燃えるのでしょうか。
32:12 どうしてエジプトびとに『彼は悪意をもって彼らを導き出し、彼らを山地で殺し、地の面から断ち滅ぼすのだ』と言わせてよいでしょうか。どうかあなたの激しい怒りをやめ、あなたの民に下そうとされるこの災を思い直し、
32:13 あなたのしもべアブラハム、イサク、イスラエルに、あなたが御自身をさして誓い、『わたしは天の星のように、あなたがたの子孫を増し、わたしが約束したこの地を皆あなたがたの子孫に与えて、長くこれを所有させるであろう』と彼らに仰せられたことを覚えてください」。
32:14 それで、主はその民に下すと言われた災について思い直された。

 神さまは麓で何が起きているかご存知でした。そしてまずモーセに、ご自分の残念な思いと怒りを打ち明けイスラエルを立ち滅ぼすと言われます。

 モーセは神さまに訴えて、それを止めようとしました。一つ目は、イスラエルを滅ぼしたらアブラハムとの契約が反故にされると主張しました。
 二つ目に、あなたがご自分の民を滅ぼすのを見たらエジプトは何と言うかを考えて下さいと言いました。神さまは、モーセのとりなしを受け入れ譲歩しました。
 偶像礼拝へ先導したものには裁きを下しましたが、イスラエル全体は赦し、契約を新たにすると約束されました。

 そしてこの時初めて、神さまはモーセに対してご自身の性質を紹介されました。

34章6-7節
34:6 主は彼の前を過ぎて宣べられた。「主、主、あわれみあり、恵みあり、怒ることおそく、いつくしみと、まこととの豊かなる神、
34:7 いつくしみを千代までも施し、悪と、とがと、罪とをゆるす者、しかし、罰すべき者をば決してゆるさず、父の罪を子に報い、子の子に報いて、三、四代におよぼす者」。

 これは一見矛盾したわかりにくい表現ですが、また、正論です。神さまは、哀れみに満ちたお方ですが、善なる方である以上、悪に対処しなければなりません。そしてなによりも神さまは、たとえその相手が不誠実な民だとしても約束を守るお方です。
 愛する我が子の成長を願い、促し、サポートしても、自分勝手で最後に他者にまで迷惑を与えるようになれば、親としてゆるせません。同じです。

5、モーセが幕屋を建てる(35-40章)
 新たに契約を結んだ後、神さまは、モーセに天幕を作るように命じました。この後再び、天幕の建設についての天幕の建設についての詳細が35-40章にわたって続きます。そして最後の章は、この天幕の完成で終わっています。神さまの栄光は、天幕の上に止まり期待が高まります。

 モーセは天幕に入って行こうとしましたができませんでした。それが出エジプト記の終わりです。
 意外に思えるかもしれませんが仕方がないことなのです。イスラエルの罪は、神さまとの関係を私達が思う以上に損なっていたのです。
 出エジプト記は、パロの悪がイスラエルの民と神の契約をおびやかしているところから始まりましたが、最後は、イスラエル自身が自らに危険を招いたところで終わっています。契約を危うくしているのは、彼らの罪そのものだったのです。

 ここから神さまは、どのようにして「聖」であり「善」であるご自身の臨在と、罪にまみれ堕落した契約の民であるイスラエルとの折り合いをつけられるのか。という問題となっていきます。次回は、その答えがあるレビ記を見ます。

2022年7月24日(日)
ニホン・ネットキリスト教会
メッセンジャー:戀田寛正

【教会を離れてしまった兄弟姉妹へ】
以前、日曜日に教会へ通っておられたのに離れてしまった方々へ。理由は、いろいろあると思いますが、それより、「もう一度、教会へ行ってみたいなぁ~」「礼拝へ出たいなぁ~」「賛美したい♪」と思っている方、ネットで礼拝に出席されませんか。
ネットの気軽さとコロナ感染の予防の観点から、礼拝と聖書の学びが出来るよう準備しました。
ご興味ある方は、お問合せフォームからご連絡下さい。
礼拝用のZOOMのIDとパスコードをお知らせ致します。

【人生に行き詰った方へ】
教会は、人がこの世に生まれた時から天に召される時まで、すべての時が神の導きと祝福の内にあることを実感するところです。そして、聖書は人生の処方箋とも言えます。人生に行き詰まりを感じることや、疲れをおぼえる時は、先ず休むことです。明日のことは、明日にならないとわかりません。明日に備えてグッスリ眠るほうが健康的です。
教会や聖書の書かれていることに、ご興味ある方は、お問合せフォームからご連絡下さい。
礼拝用のZOOMのIDとパスコードをお知らせ致します。