ショートメッセージ【ソロモン②】

列王紀上2-3章、歴代志上28章他
(ソロモンの知恵)
1、父ダビデの定めに歩むソロモン
2、2人の遊女へのさばき

1、父ダビデの定めに歩むソロモン
 先週は、ソロモンがダビデから引き継いだ神殿建設と王への即位について見ました。
 即位したソロモンは、民と共にモーセの幕屋のあったギベオン(エルサレムの北西約8㎞)に行って、動物のいけにえによる従来の礼拝をしています。
 主なる神さまを愛し、父ダビデの定めに歩む様子がうかがえます。その定めとは、ダビデがソロモンに神殿建設とともに託したものでした。
 列王紀上2章1-4節を読みます。

2:1 ダビデの死ぬ日が近づいたので、彼はその子ソロモンに命じて言った、
2:2 「わたしは世のすべての人の行く道を行こうとしている。あなたは強く、男らしくなければならない。
2:3 あなたの神、主のさとしを守り、その道に歩み、その定めと戒めと、おきてとあかしとを、モーセの律法にしるされているとおりに守らなければならない。そうすれば、あなたがするすべての事と、あなたの向かうすべての所で、あなたは栄えるであろう。
2:4 また主がさきにわたしについて語って『もしおまえの子たちが、その道を慎み、心をつくし、精神をつくして真実をもって、わたしの前に歩むならば、おまえに次いでイスラエルの位にのぼる人が、欠けることはなかろう』と言われた言葉を確実にされるであろう。

 歴代志上22章11-13節でも同様のことが記されています。ここではその前の6-10節で神殿建設に関するダビデからソロモンへの命令が記されています。

 ソロモンが王に即位してすぐに、ギベオンで従来通りの礼拝をしたことが神さまのみこころにかなったのでしょう。その夜神さまはソロモンの夢に現れ、「あなたに何を与えようか、求めなさい」。とソロモンに聞かれました。
 列王紀上3章5-10節を読みます。

3:5 ギベオンで主は夜の夢にソロモンに現れて言われた、「あなたに何を与えようか、求めなさい」。
3:6 ソロモンは言った、「あなたのしもべであるわたしの父ダビデがあなたに対して誠実と公義と真心とをもって、あなたの前に歩んだので、あなたは大いなるいつくしみを彼に示されました。またあなたは彼のために、この大いなるいつくしみをたくわえて、今日、彼の位に座する子を授けられました。
3:7 わが神、主よ、あなたはこのしもべを、わたしの父ダビデに代って王とならせられました。しかし、わたしは小さい子供であって、出入りすることを知りません。
3:8 かつ、しもべはあなたが選ばれた、あなたの民、すなわちその数が多くて、数えることも、調べることもできないほどのおびただしい民の中におります。
3:9 それゆえ、聞きわける心をしもべに与えて、あなたの民をさばかせ、わたしに善悪をわきまえることを得させてください。だれが、あなたのこの大いなる民をさばくことができましょう」。
3:10 ソロモンはこの事を求めたので、そのことが主のみこころにかなった。

 ソロモンは父ダビデに代わって王となった自分を小さい子供と言っています。ここにソロモンの神さまの前の謙遜が見ることができます。そして、自分のための富や名声、自分のいのちが長らえる事や敵のいのちを求めることもなく、民をさばくための知恵を求めました。
 そのことがさらに神さまのみこころにかない。ソロモンは、神さまから賢い、英明な心、つまり知恵と判断の心をいただき、さらに富と誉も与えられることになりました。

 民を裁く知恵を求めたソロモンは立派に映りますが、置かれた環境が大きく影響していたように思われます。

 ソロモンにとっては、父ダビデから託された神殿建設が最優先課題となっていました。その神殿はすでに詳細まで決められていました。大きさはモーセの幕屋の約2倍の壮大な神殿です。
 歴代志上28章10-12節を読みます。

28:10 それであなたは慎みなさい。主はあなたを選んで聖所とすべき家を建てさせようとされるのだから心を強くしてこれを行いなさい」。
28:11 こうしてダビデは神殿の廊およびその家、その倉、その上の室、その内の室、贖罪所の室などの計画をその子ソロモンに授け、
28:12 またその心にあったすべてのもの、すなわち主の宮の庭、周囲のすべての室、神の家の倉、ささげ物の倉などの計画を授け、

 これを成し遂げるには多くの人手が必要です。また、ソロモンは父ダビデの子供たちとの関係上の問題、王位継承でのごたごた、実母バテシバが謀反を起こそうとしたアドニヤのために動こうとしたことなど、人を(人の心を)束ねて動かす大変さを身近で見て経験していました。

 ソロモンは民をさばく知恵の必要を誰よりも感じていたということでしょう。神さまのみこころである神殿建設をするための必要を欲したソロモンに神さまは応えられたのです。

 また、神さまの御旨、御心を知ることは大変ですが、御言葉に従い、御心を成したいとの純粋な思いがあるならば、求めたものを神さまが聞いて下さり実現させてくださることを私たちも確信できるということです。

2、2人の遊女へのさばき
 列王紀上3章16節からは、早速、ソロモンが神さまからいただいた知恵の紹介がされています。列王紀上3章16-28節を見ます。

3:16 さて、ふたりの遊女が王のところにきて、王の前に立った。
3:17 ひとりの女は言った、「ああ、わが主よ、この女とわたしとはひとつの家に住んでいますが、わたしはこの女と一緒に家にいる時、子を産みました。
3:18 ところがわたしの産んだ後、三日目にこの女もまた子を産みました。そしてわたしたちは一緒にいましたが、家にはほかにだれもわたしたちと共にいた者はなく、ただわたしたちふたりだけでした。
3:19 ところがこの女は自分の子の上に伏したので、夜のうちにその子は死にました。
3:20 彼女は夜中に起きて、はしための眠っている間に、わたしの子をわたしのかたわらから取って、自分のふところに寝かせ、自分の死んだ子をわたしのふところに寝かせました。
3:21 わたしは朝、子に乳を飲ませようとして起きて見ると死んでいました。しかし朝になってよく見ると、それはわたしが産んだ子ではありませんでした」。
3:22 ほかの女は言った、「いいえ、生きているのがわたしの子です。死んだのはあなたの子です」。初めの女は言った、「いいえ、死んだのがあなたの子です。生きているのはわたしの子です」。彼らはこのように王の前に言い合った。
3:23 この時、王は言った、「ひとりは『この生きているのがわたしの子で、死んだのがあなたの子だ』と言い、またひとりは『いいえ、死んだのがあなたの子で、生きているのはわたしの子だ』と言う」。
3:24 そこで王は「刀を持ってきなさい」と言ったので、刀を王の前に持ってきた。
3:25 王は言った、「生きている子を二つに分けて、半分をこちらに、半分をあちらに与えよ」。
3:26 すると生きている子の母である女は、その子のために心がやけるようになって、王に言った、「ああ、わが主よ、生きている子を彼女に与えてください。決してそれを殺さないでください」。しかしほかのひとりは言った、「それをわたしのものにも、あなたのものにもしないで、分けてください」。
3:27 すると王は答えて言った、「生きている子を初めの女に与えよ。決して殺してはならない。彼女はその母なのだ」。
3:28 イスラエルは皆王が与えた判決を聞いて王を恐れた。神の知恵が彼のうちにあって、さばきをするのを見たからである。

 日本の時代劇テレビドラマの大岡越前の裁きにも同じような子供を争う2人の母親の裁きがあります。唯一違うのは子供の腕を両側から引っ張らせることでした。その話は聖書と違って、フィクションですが、ソロモンの知恵の話がもとになっているようです。

 ここで聖書が教えているのは、28節《イスラエルは皆王が与えた判決を聞いて王を恐れた。神の知恵が彼のうちにあって、さばきをするのを見たからである。》と言うところでしょう。

 神さまの知恵によって裁かれたソロモンを恐れるということは神さまを恐れるということです。ここで、格言・教訓・道徳訓を多く含む、旧約聖書の“箴言”と“伝道の書”の言葉をご紹介したいと思います。

箴言1章7節
1:7 主を恐れることは知識のはじめである、愚かな者は知恵と教訓を軽んじる。

伝道者の書12章13-14節
12:13 事の帰する所は、すべて言われた。すなわち、神を恐れ、その命令を守れ。これはすべての人の本分である。
12:14 神はすべてのわざ、ならびにすべての隠れた事を善悪ともにさばかれるからである。

 ソロモン王のスタートは順風満帆のようです。しかし、

列王記上3章1節
3:1 ソロモン王はエジプトの王パロと縁を結び、パロの娘をめとってダビデの町に連れてきて、自分の家と、主の宮と、エルサレムの周囲の城壁を建て終るまでそこにおらせた。

 今日の最初のところで、列王紀3章5節から10節を見ました。それはギベオンでソロモンがささげた礼拝の記事でした。神さまはそれを喜ばれましたが、その礼拝の前にこの3章1節の記事が挿入されています。ここには政略結婚のために異邦人の妻と結婚するソロモンの律法違反に関して書かれています。

 父親ダビデの申し渡しで、主の定めに従い神殿建設に向かうソロモンでした。神殿建設の必要と大切さは確実に継承されていることがわかります。そのために必要な知恵もいただきました。しかし、神殿建設はあくまで、神さまへの感謝、信頼の象徴であり、その信仰という点を、信仰の継承という点を、ソロモンが神殿建設と同じようにいやそれ以上に大切だと理解して、受け取っていたのかどうか。

 エジプトとの協力体制を戦わずに平和の内に築くためであったことはわかりますが、今後の展開に不安を投げかけるのがこの3章1節の記事となっています。

 本日見てきたソロモンの態度と姿勢は、主への恐れと謙遜がありました。しかし、この列王記上3章1節の出来事はソロモンの思考が垣間見えます。エジプトの王の娘と結婚したことは、律法に反することですが、神さまはソロモンの夢に現れて必要なモノをお聞きになられました。
 聖書は、書いてある箇所で細部まで記していないことがありますが、読み進めると繋がることがあります。考えさせながら読ませているのも聖書の特徴です。

2023年3月26日(日)
ニホン・ネットキリスト教会
メッセンジャー:香川尚徳

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