ショートメッセージ【列王紀上・下巻の概観】

(列王紀上・下巻の概観)
1、列王紀上・下巻の構図と内容
2、王権の継承
3、ソロモンの功罪
4、イスラエル王国の分裂
5、預言者の役割
6、北イスラエル王国と南ユダ王国の陥落

 本日は、列王紀上・下巻の概観を見ていきたいと思います。理由は、イスラエルの歴史を知るために、イスラエルの歴代の王政時代にどのようなことがあったのか。列王紀という書簡を概観することで理解していただけると思います。

1、列王紀上・下巻の構図と内容
 列王紀上(第一)と列王紀上(第二)は、聖書では2つに分かれていますが、サムエル記同様、もともとは1つの書簡で前の書簡であるサムエル記から続く出来事を伝えています。
 また、列王紀はヘブル語聖書では「王たち」を意味します。

 著者については諸説あるのですが、おそらく、王国(エルサレム)滅亡前後の預言者か預言者に近い人物ではないかと言われています。そして、旧約聖書の区分(律法、預言書、諸書)では歴史的記述が中心なのですが、「歴史書」ではなく「預言書」の「前預言書」に位置付けられています。

 その列王紀は、ダビデの後に続いた歴代の王たちについて記されていますが、どの王も神さまとの約束にかなう生き方はできず、結果的に、イスラエル国家を滅ぼしました。
 列王紀は5つのパートに分かれており、最初と最後のパートは、エルサレムのことが中心書かれています。

 最初はソロモンの統治と神殿建築、最後はエルサレム陥落とバビロン捕囚で終わります。
 最後の悲劇的な結末に至るまでを描いたのが真ん中の3つのパートです。
 1つ目のパートは、イスラエルが2つの敵対する王国に分裂したこと。
 2つ目のパートは、神さまが預言者を遣わしてイスラエルの腐敗を防ごうとしたこと。
 3つ目のパートは、イスラエルの罪の結果、捕囚されることが避けられなくなったことを記しています。

2、王権の継承
 この「2、王権の継承」 と次の「3、ソロモンの功罪」 そして、4、「イスラエル王国の分裂」 は、香川盛治さんと香川尚徳さんのメッセージから学びましたのでサラっと流します。

 最初の2章は、年老いたダビデから息子ソロモンに王権が継承される場面を描いています。列王紀上の2章1-4節を見ます。

2:1 ダビデの死ぬ日が近づいたので、彼はその子ソロモンに命じて言った、
2:2 「わたしは世のすべての人の行く道を行こうとしている。あなたは強く、男らしくなければならない。
2:3 あなたの神、主のさとしを守り、その道に歩み、その定めと戒めと、おきてとあかしとを、モーセの律法にしるされているとおりに守らなければならない。そうすれば、あなたがするすべての事と、あなたの向かうすべての所で、あなたは栄えるであろう。
2:4 また主がさきにわたしについて語って『もしおまえの子たちが、その道を慎み、心をつくし、精神をつくして真実をもって、わたしの前に歩むならば、おまえに次いでイスラエルの位にのぼる人が、欠けることはなかろう』と言われた言葉を確実にされるであろう。

 ダビデからソロモンへの遺言は、モーセやヨシュア、サムエルが民に残した言葉とよく似ています。神さまとの契約である律法を守りイスラエルの神さまだけに誠実でありなさい。という内容です。
 しかし、この言葉とは裏腹に、この時ダビデとソロモンは王位継承を確実にするために、いくつかの血なまぐさい企てがありました。

3、ソロモンの功罪
 ソロモンの絶頂期はイスラエルを導くために、神さまに知恵を求め、ダビデの念願だったイスラエルの神さまの神殿建築を成し遂げた時でした。そして、神殿の造りが細部まで書かれています。律法にある幕屋と同じように、宝飾品が用いられケルビムと植物や花が描かれています。
 これらはエデンの園を題材(モチーフ)にしたものでした。
 ここは天と地が交わる場所であり、神さまのご臨在が民と共にある場所でした。

 しかし、ソロモンは神殿建築を終えると考えられない過ちを犯し王国は崩壊しました。
 彼は他国と同盟を結ぶために何百人もの王の娘たちと結婚しその国々の偶像を持ち込んでイスラエルに偶像礼拝を取り入れたのです。
 ソロモンは莫大な富を蓄え、強い軍隊を作り、さまざまな建造物のために奴隷を酷使しました。
 晩年のソロモンの行いは、父ダビデ王よりエジプトの王様に似ていたと言わざるを得ません。

4、イスラエル王国の分裂
 次のパートは、ソロモンの息子レハブアムが王となったところから始まりますが、彼はソロモンと同じように権力に貪欲な人物でした。
 レハブアムが税金を増やし奴隷たちの負担を重くしようとした結果、ヤラベアムを指導者とした北の部族は反対し王国を離脱して、自らレハブアムに敵対する王国を建てました。

 こうしてイスラエルは2つの国に分裂し、ダビデの子孫を王としエルサレムに都を置く南のユダ王国とやがてサマリヤを首都とする北の王国のイスラエルができました。
 ヤラベアムは、南のユダ王国のソロモンの神殿に対抗して二つの神殿を建てるとそれらの神殿に金の子牛像を置き、これをイスラエルの神の象徴にしました。

 どこかで読んだ箇所と同じですね。はい、そうです。出エジプト記32章の金の子牛像です。
 このあと、著者は北と南の王国を行ったり来たりしながらそれぞれの国の出来事を書いています。

 イスラエルが分裂し北王国イスラエルも南王国ユダに、それぞれ約20人の王が立てられましたが、著者は一人一人を紹介しながら、以下のような基準をもって彼らを評価していきます。
 イスラエルの神さまだけを礼拝したか。
 それとも他の神々の礼拝を促進したか。
 また民の偶像礼拝を排除したか。そしてダビデのように神さまとの契約に誠実だったか。
 それとも堕落し不正に走ったか。
 このような基準に照らした結果、北のイスラエル王国に、善い王は20人のうち誰一人いませんでした。

 しかし、南のユダ王国は20人のうち8人が肯定的に評価されています。これはイスラエルの歴史において重要な役割を果たしてきた預言者を紹介するという、この列王紀のもう一つの大事な目的に関わってきます。

5、預言者の役割
 聖書に登場する預言者は、未来を予見する者や占うものではなく、イスラエルの神さまの代弁者です。また、契約が守られているかどうか。神さまから命じられたことを行っているか。を監視し、王や民の偶像礼拝と不正を批難する役割も果たしていました。

 預言者たちは、イスラエルは他の国々の手本であり希望だということを絶え間なく訴え、律法を守り、悔い改めて神さまに従いなさいと呼びかけていました。
 このパートに登場する預言者たちは、それぞれの王に責任を追及するために遣わされたのです。

 北王国に遣わされた預言者のうち優れているのはエリヤとその弟子のエリシャです。
 次回からは、預言者エリヤを見て行きますので、今回は触れません。

6、北イスラエル王国と南ユダ王国の陥落
 次のパートでは、北イスラエル王国はアハブの家を滅ぼしたエヒウという王が登場します。エヒウは預言者エリシャによって遣わされた者から主の命による油注ぎを受け、王となりました。
 エヒウは、アハブ以来ヨラム王朝の目にあまる暴虐ぶりに対して、それを滅ぼすために選ばれた王といえます。
 列王紀下9章-10章で、ヨラム王朝を徹底的に滅ぼしていることが書かれています(バアル礼拝者と宮)。エヒウは、北イスラエルのうちからバアルを一掃しましたが(列王下10:28)、律法を守らず、ヤラベアムの偶像崇拝から離れませんでした。
 この後クーデターが繰り返され、いずれの王も偶像を拝み国は不正まみれになりました。
 これらのことが列王紀下17章へとつながっていきます。
 列王紀下17章4-6節

17:4 アッスリヤの王はホセアがついに自分にそむいたのを知った。それはホセアが使者をエジプトの王ソにつかわし、また年々納めていたみつぎを、アッスリヤの王に納めなかったからである。そこでアッスリヤの王は彼を監禁し、獄屋につないだ。
17:5 そしてアッスリヤの王は攻め上って国中を侵し、サマリヤに上ってきて三年の間、これを攻め囲んだ。
17:6 ホセアの第九年になって、アッスリヤの王はついにサマリヤを取り、イスラエルの人々をアッスリヤに捕えていって、ハラと、ゴザンの川ハボルのほとりと、メデアの町々においた。

 当時の超大国アッスリヤが襲来し北王国のすべてを奪い去りました。
 首都サマリヤは征服され、イスラエル人は捕囚され、方々に散らされたました。そういう意味で17章は大きな鍵となる章です。

 著者は、ここで起こったことに預言者的な考察しています。北王国の陥落の原因は、イスラエルとその王たちが偶像を礼拝し契約に不誠実だったことだと著者は指摘します。神さまは彼らが選んで蒔いた種を刈り取ることをお許しになられたのです。

 そして列王紀は最後に孤立した南王国ユダの末路を伝えます。ユダにはアッシリアが攻めて来た時、神さまに信頼したヒゼキヤのように立派な王がいました。
 神殿で失われていた律法の巻物を見つけたヨシヤ王もそうです。
 ヨシヤ王は、律法を読んで悔い改め宗教改革を行い、偶像とカナン文化の悪影響を国から排除しました。
 しかしユダの背信行為は大きすぎました。この二人の間の王マナセはユダ史上最悪の王でした。エルサレム神殿に偶像礼拝を持ち込んだだけでなく、子どもをいけにえにすることまでしたのです。そこで神さまは預言者を遣わし、ユダは取り返しのつかないことをしたと宣告しました。
 最後の2章ではバビロン帝国がエルサレムを侵略して神殿を破壊し、民とダビデの子孫を捕囚にします。神さまはイスラエルとダビデの子孫を見捨てたのかという疑問を読者に抱かせて列王紀は終わります。

 最後の段落は、捕囚から40年後の何とも表現のしようがない不思議な出来事を伝えています。ダビデの子孫でエルサレムが陥落していなければ王であったはずのエホヤキンのことです。バビロンの王エビルメロダクは、なぜかエホヤキンを牢獄から出し、残りの生涯を自分の食卓につかせたというところで列王紀は終わっています。神さまはダビデの子孫を見捨てたのではない。という一筋の希望が見えます。
列王紀下25章27-30節です。

25:27 ユダの王エホヤキンが捕え移されて後三十七年の十二月二十七日、すなわちバビロンの王エビルメロダクの治世の第一年に、王はユダの王エホヤキンを獄屋から出して
25:28 ねんごろに彼を慰め、その位を彼と共にバビロンにいる王たちの位よりも高くした。
25:29 こうしてエホヤキンはその獄屋の衣を脱ぎ、一生の間、常に王の前で食事した。
25:30 彼は一生の間、たえず日々の分を王から賜わって、その食物とした。

2023年4月30日(日)
ニホン・ネットキリスト教会
メッセンジャー:戀田寛正

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