ショートメッセージ【ヨセフ③】

創世記40-41章
1、牢屋でのヨセフ
2、2人の夢の解き明かし
3、登用されるヨセフ

1、牢屋でのヨセフ
 創世記40:1-3を読みます。

40:1 これらの事の後、エジプト王の給仕役と料理役とがその主君エジプト王に罪を犯した。
40:2 パロはふたりの役人、すなわち給仕役の長と料理役の長に向かって憤り、
40:3 侍衛長の家の監禁所、すなわちヨセフがつながれている獄屋に入れた。

 これまでヨセフという人は出来事だけを取り上げて行けば、かなり不遇な人生であった言えます。それは、十代で自分の義理の兄弟たちに売られてエジプトで奴隷として生きることになりました。しかし、自分に起きた不遇を恨まず、真面目に働いていたにもかかわらず、主人の妻から濡れ衣を着せられて今、牢屋に入っているからです。

 このような出来事を自分に当てはめるとしたら、耐えられる人はなかなかいないのではないでしょうか。しかしヨセフは常に過去を見ることなく、神さまの導きを求める姿勢があります。私たちも、人生で多くの苦しみを体験します。そのような時、私心ではなく神さまを求めることが未来に向くための希望であることを教えられます。

2、2人の夢の解き明かし
 そして、そのような中、2人の人がヨセフと同じ牢屋に入れられます。給仕役の長と料理役の長です。しばらくしたある日、2人は夢を見ます。そしてその2人の夢をヨセフは解き明かしていきます。
 一人目は給仕役の長です。9-11節を読みます。

40:9 給仕役の長はその夢をヨセフに話して言った、「わたしが見た夢で、わたしの前に一本のぶどうの木がありました。
40:10 そのぶどうの木に三つの枝があって、芽を出し、花が咲き、ぶどうのふさが熟しました。
40:11 時にわたしの手に、パロの杯があって、わたしはそのぶどうを取り、それをパロの杯にしぼり、その杯をパロの手にささげました」。

 ヨセフは12-13節のように解き明かしました。

40:12 ヨセフは言った、「その解き明かしはこうです。三つの枝は三日です。
40:13 今から三日のうちにパロはあなたの頭を上げて、あなたを元の役目に返すでしょう。あなたはさきに給仕役だった時にされたように、パロの手に杯をささげられるでしょう。

 このようにヨセフは、給仕役の長が元の仕事に就けることを解き明かしました。そして次ようにお願いしました。14-15節です。

40:14 それで、あなたがしあわせになられたら、わたしを覚えていて、どうかわたしに恵みを施し、わたしの事をパロに話して、この家からわたしを出してください。
40:15 わたしは、実はヘブルびとの地からさらわれてきた者です。またここでもわたしは地下の獄屋に入れられるような事はしなかったのです」。

 ヨセフがこのように願うのは書かれてある通り当然のことです。何も悪いことをしなかったのですから。恨み言なしに出来事だけを伝えるヨセフは、立派な人であると言えます。

 そして、もう一人の料理役の解き明かしは給仕役とは明らかに正反対のものでした。16-19節を読みます。

40:16 料理役の長はその解き明かしの良かったのを見て、ヨセフに言った、「わたしも夢を見たが、白いパンのかごが三つ、わたしの頭の上にあった。
40:17 一番上のかごには料理役がパロのために作ったさまざまの食物があったが、鳥がわたしの頭の上のかごからそれを食べていた」。
40:18 ヨセフは答えて言った、「その解き明かしはこうです。三つのかごは三日です。
40:19 今から三日のうちにパロはあなたの頭を上げ離して、あなたを木に掛けるでしょう。そして鳥があなたの肉を食い取るでしょう」。

 そして2人の夢は実際に起こります。ヨセフは給仕役の長に助けてもらうようにお願いしていました。しかし残念なことに、給仕役の長はその約束を忘れてしまい、結局、2年間忘れ去られていました。

3、登用されるヨセフ
 41章に変わって、今度はエジプトのパロが2年後に夢が取り上げられています。41章1-7節を見ます。

41:1 二年の後パロは夢を見た。夢に、彼はナイル川のほとりに立っていた。
41:2 すると、その川から美しい、肥え太った七頭の雌牛が上がってきて葦を食っていた。
41:3 その後、また醜い、やせ細った他の七頭の雌牛が川から上がってきて、川の岸にいた雌牛のそばに立ち、
41:4 その醜い、やせ細った雌牛が、あの美しい、肥えた七頭の雌牛を食いつくした。ここでパロは目が覚めた。
41:5 彼はまた眠って、再び夢を見た。夢に、一本の茎に太った良い七つの穂が出てきた。
41:6 その後また、やせて、東風に焼けた七つの穂が出てきて、
41:7 そのやせた穂が、あの太って実った七つの穂をのみつくした。ここでパロは目が覚めたが、それは夢であった。

 そこでパロは多くのこの手の呪術者に解き明かしを求めましたが、誰もわかりませんでした。その時に、思い出したのが給仕役の長だったのです。給仕役の長は、自分と料理役の長に起こった夢の解き明かしが真実だったことをパロに伝えました。そこでやっとヨセフは牢屋から出ることができたのです。

 そして、パロはヨセフに夢を伝えました。ヨセフはパロの夢の解き明かしを次のようにしました。

41:29 エジプト全国に七年の大豊作があり、
41:30 その後七年のききんが起り、その豊作はみなエジプトの国で忘れられて、そのききんは国を滅ぼすでしょう。
41:31 後に来るそのききんが、非常に激しいから、その豊作は国のうちで記憶されなくなるでしょう。
41:32 パロが二度重ねて夢を見られたのは、この事が神によって定められ、神がすみやかにこれをされるからです。

 このように7年間の大豊作のあと、7年間の大凶作であることを告げると、パロは、このように言ってヨセフをエジプトの総理大臣にしたのです。39-40節を読みます。

41:39 またパロはヨセフに言った、「神がこれを皆あなたに示された。あなたのようにさとく賢い者はない。
41:40 あなたはわたしの家を治めてください。わたしの民はみなあなたの言葉に従うでしょう。わたしはただ王の位でだけあなたにまさる」。

 今日のお話から教えられることはたくさんあります。まず、どのような環境に置かれてもくじけず、恨みをもたなかったヨセフ。

 彼は、兄たちや奴隷だった時の主人の妻、給仕役の長を恨むことができます。もちろん、神さまさえも恨むことができたでしょう。しかし、それらついては、聖書に全く書かれていません。むしろ、不幸な出来事に目を向けず、神さまに信頼を置き、未来の希望を見る人でした。

 この世の中は自分ではどうしようもない出来事が山のようにあります。そのような時、神さまの導きの中で起こっていることなのか、それとも何かのせいにして生きていくのかはご自身の判断です。

 もちろん、理不尽なことを訴えることが悪いと言っているのではありません。大切なのは、ヨセフは自分の感情に振り回されていないと言うことでしょう。聖書の究極的な教えは「神を愛し、隣人を自分自身のように愛する。」ということです。彼はそれを地で行く人であったのです。

 そしてヨセフは、自分の置かれる場所が神さまの導きであったことを確信していたと思われます。それは彼自身が後に兄弟たちに語っています。創世記45章5-7節を見ましょう。

45:5 しかしわたしをここに売ったのを嘆くことも、悔むこともいりません。神は命を救うために、あなたがたよりさきにわたしをつかわされたのです。
45:6 この二年の間、国中にききんがあったが、なお五年の間は耕すことも刈り入れることもないでしょう。
45:7 神は、あなたがたのすえを地に残すため、また大いなる救をもってあなたがたの命を助けるために、わたしをあなたがたよりさきにつかわされたのです。

 さて、私たちはどうでしょうか。ヨセフが恨み節で過去をつぶやく者であるならば、このような考えや発言はなかったことでしょう。むしろ、神さまを信頼し、導きであることを確信してきたからこそ、多くの人を愛し、また守ることができる人物となったのです。

2022年6月12日(日)
ニホン・ネットキリスト教会
メッセンジャー:香川盛治師

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