メッセージ【イエス・キリストの系図②】
創世記19章37節
列王紀上11章33節
列王紀下3章27節
ミカ書5章2節
マタイによる福音書1章数ヵ所
ローマ人への手紙数ヵ所、他
(系図の中に訳ありの女性たち②)
1、ルツ
2、ウリヤの妻
3、マリヤとイエス・キリストの誕生
今回は、ルツ記の“ルツ”と“ウリヤの妻”、イエス様の母マリヤを見ていきます。
2人目の“ウリヤの妻”という表現は、気になる表現ですね。では、早速見ていきましょう。
1、ルツ
マタイによる福音書1章5節を読みます。
1:5 サルモンはラハブによるボアズの父、ボアズはルツによるオベデの父、オベデはエッサイの父、
ルツという女性は、モアブ人です。イスラエル民族から見れば縁戚にあたります。
創世記19章30-37節を読むと、アブラハムの甥ロトとその姉娘との間に生まれたのがモアブ人の先祖モアブで、妹も子を産み、アンモン(アモン)人も縁戚にあたります。
創世記19章37節を読みます。
19:37 姉娘は子を産み、その名をモアブと名づけた。これは今のモアブびとの先祖である。
系統的には、モアブ人は神さまの選ばれた民ではありません。
次に、列王紀上11章33節を読みます。
11:33 というのは、人々がわたしを捨て、シドン人の女神アシュタロテや、モアブの神ケモシュや、アンモン人の神ミルコムを拝み、父ダビデのようには、わたしの目にかなうことを行わず、わたしの掟と定めを守らず、わたしの道に歩まなかったからである。
続けて、列王紀下3章27節を読みます。
3:27 自分の位を継ぐべきその長子をとって城壁の上で燔祭としてささげた。その時イスラエルに大いなる憤りが臨んだので、彼らは彼をすてて自分の国に帰った。
このように、モアブ人の信仰する神は「ケモシュ」で人身犠牲の神でした。
このモアブの地に、ユダヤ人のナオミの家族が飢饉を逃れて移住しました。そこで夫が死に、残された2人の息子も死んでしまいました。あとは姑と2人の息子の嫁だけでした。そこで、姑のナオミは、故郷のベツレヘムに戻る決心をしました。
2人の嫁のうち、1人は自分の国に残ることになりましたが、もう1人の嫁ルツは、義母のナオミと一緒にユダヤのベツレヘムに戻る決心をしました。ルツは、異邦人ではあるものの、義理の母の信じている神さまを信じようと思い付いていきました。
ナオミの故郷に行っても、貧しい生活が続きましたが、遠い親戚のボアズの目に留まって再婚をします。
そのボアズは、ユダの家系であり、やがてルツとの間にオベデを産んで、オベデはエッサイを産みます。このエッサイが、ダビデの父親であり、オベデはダビデの祖父、オベデの父親はボアズでその母はモアブ人のルツとなっています。
ユダヤ人は、純粋な血筋を重んじます。しかし、そのイエス様の血筋の中に異邦人の女性の血が混じっていたのです。ラハブもそうです。異邦人であり遊女です。ルツは異邦の女性であり、ユダヤから飛び出していって失敗した家族についてきた外国の女性です。その家系から、ダビデが生まれたのです。
ルツは、聖歌149番の1番の冒頭に出てくる歌詞にあるように、“見よやエサイの根より芽(め)いで”と、エッサイの祖母になったのです。
ミカ書5章2節を読みます。
5:2 しかしベツレヘム・エフラタよ、あなたはユダの氏族のうちで小さい者だが、イスラエルを治める者があなたのうちから/わたしのために出る。その出るのは昔から、いにしえの日からである。
いま、お読みした通り、救い主はユダ族の血筋からベツレヘムに生まれるという、神さまから預言者ミカを通して預言の言葉が告げられたのです。
マタイがイエス様の系図を書くとき、訳ありの事情を抱えた女性が書かれていました。
イスラエルの民として書きたくない女性だったでしょう。
前回と今回、これまで3人の女性を見てきました。
最初の女性は、義理の父親と息子がいたタマルです。
タマルの義理の父であるユダは、長男と次男の息子がタマルとの結婚よって命が奪われたので、タマルにユダの三男を与えることから逃げました。しかし、タマルは、義理の父ユダに娼婦を装って息子を産みました。この記事は、モーセ五書に書かれているものです。
2番目の女性は異邦人で遊女だったラハブです。
しかし彼女は、イスラエルの神さまを恐れ、イスラエルから送られたスパイを匿い、のちに偵察した若者たちによってラハブと両親と兄弟たちは連れ出され守られました。ラハブの名前は異邦人であり、遊女にもかかわらずイエス様の系図に書かれています。
そしてモアブ人のルツですが、彼女の夫が亡くなった後、義母について行きます。彼女は義理の母親がもつ真の神さまへの信仰を抱いてベツレヘムに行きました。そしてルツは、財産があり律法に忠実な、ナオミの親戚のボアズと再婚しました。ラハブとルツは異邦人でしたが、彼女ら2人はイエス様の系図に入れられました。
では、次の女性を見ていきましょう。
2、ウリヤの妻
4人目の女性は“ウリヤの妻”でした。冒頭でも触れましたが、意味深な表現です。“ウリヤの妻”の名前はバテシバです。
マタイによる福音書1章6節を見ますと、マタイは、バテシバに名前を書かず、《ウリヤの妻》と書いています。読んでみましょう。
1:6 エッサイはダビデ王の父であった。ダビデはウリヤの妻によるソロモンの父であり、
これは、ダビデの姦淫の罪を示しています。
サムエル記下11章-12章に書かれてあるイスラエルの王ダビデが犯した大きな事件です。
マタイが書いた系図は、イスラエルの王、ダビデの罪を明確に示します。見方によっては、罪の系図のようにも見えます。しかし、彼らは神さまへの信仰を持っていて、神さまに期待し神さまを慕い恐れる人たちでした。
そのような観点で言えば、この系図は信仰者の系図とも言えます。
マタイは、わざわざ1章6節で《ダビデはウリヤの妻によるソロモンの父であり、》と書いています。なぜ、ここにバテシバという妻の名前が出ていないのでしょうか。また、前の夫ウリヤの名前を出しているのでしょうか。
本来、バテシバはウリヤの正式な妻だったのに、ダビデが情欲に駆られ、権力を使ってバテシバを奪い取りました。
ウリヤは、軍隊に所属し、ダビデの忠実な家来で、愛国心があり同僚思いでした。ダビデは、そのようなバテシバの夫を殺してしまったのです。王として権力を持ったダビデの根深い罪が背景にあるのです。
そしてこの系図は、ダビデ王家の美談を書き残したものではないということが分かります。むしろ、ダビデ家の罪の現実をはっきりと後世に残したものだと言っていいのではないでしょうか。
《ウリヤの妻》と書くことによって、マタイはウリヤの信仰を表し、神さまの義を記しました。そして、イスラエルの王であり信仰の鏡でもある王ダビデを、1人の罪人の輪郭を描いているような気がします。
つまり、この家系は、アブラハム、ダビデ王を中心としたイスラエルの連綿とした神さまの選ばれた民の家系図というよりは、むしろ罪人の血が混じった家系図と言った方がいいかもしれません。しかし、そういう罪にまみれた王様、夫、女性たちでしたが、彼らに共通して言えることは、神さまへの信仰と畏怖の念、信仰ゆえの勇気と大胆な行動が、一つの血筋としてつながっているということです。つまり、信仰者の系譜なのです。
罪を持った者として、歴史の流れの中で、創造者なるイスラエルの神さまを信じる信仰者として、ここに名前が記されているのです。
アブラハムからダビデまで約千年、ダビデからイエス・キリストまで約千年の間、彼らは救い主の来ることを信じて待ち望んでいました。自分たちの罪が贖われること、完全に赦されて神の民とされ、約束の永遠の命を得ること、約束の国をはるか遠くから待ち望んで歩んできました。それが、この主イエス・キリストの系図なのです。信仰の人々の系図なのです。
3、イエス・キリストの誕生
マタイによる福音書1章16節を読みます。
1:16 ヤコブはマリヤの夫ヨセフの父であった。このマリヤからキリストといわれるイエスがお生れになった。
イエス様の系図に載っている5番目の女性は、ご聖霊によって妊娠したマリヤです。マリヤの場合は他の女性とは全く異なっていました。そして、イスラエルの信仰の系図はマリヤによって終わりました。マリヤからご聖霊を通して生まれた人々はイエス様の兄弟姉妹です。そして、肉による家系図はマリヤで終わりました。
長い歴史を経て、ついに処女マリヤの胎を通して神の子イエス・キリストがお生まれになられたのです。
このマリヤだけは、今までの4人の女性と違って、背後に問題を抱える出来事ではありませんでした。
マタイによる福音書1章18節を読みます。
1:18 イエス・キリストの誕生の次第はこうであった。母マリヤはヨセフと婚約していたが、まだ一緒にならない前に、聖霊によって身重になった。
マリヤが、他の4人の女性と決定的に違っていたことは、夫ヨセフとの夫婦関係を通して子供を産んだのではありませんでした。マリヤには、驚く出来事が起こったのでした。それは、ご聖霊によって妊娠したということです。
ご聖霊によって身ごもったということは、人類史上マリヤだけです。
同じイエス様の系図が載っているルカによる福音書3章23節を見てみまましょう。
3:23 イエスが宣教をはじめられたのは、年およそ三十歳の時であって、人々の考えによれば、ヨセフの子であった。ヨセフはヘリの子、
とあります。
《人々の考えによれば、ヨセフの子であった。》と微妙なニュアンスです。つまり、地上の制度や通常の意味によれば、ヨセフの子ですが、実は、イエス様は神の子なのです。
パウロは、ローマ人への手紙1章4節で、
1:4 聖なる霊によれば、死人からの復活により、御力をもって神の御子と定められた。これがわたしたちの主イエス・キリストである。
と言っています。
キリストは確かに、アブラハム、ダビデの家系から生まれた御方ですが、それは今まで犯した人間の罪をご自分の肉体をもって償い(贖い)取って下さる御方として、この世に来られたのです。
罪深いイスラエルの呪われた家系図を、すべてご自分の十字架の贖いによってきよめて、完全な神の民として、肉のイスラエルではなく、キリストの贖いによって罪赦された霊のイスラエルとして、きよめるために来られたのです。そして、イスラエルの肉の家系図の最後に、その罪ある民の家系図を最終的に、ご自分の償い(贖い)によって完成するために来てくださったのです。
イエス様は、肉のイスラエルの終わりとご聖霊のイスラエルの始まりとなりました。そして、異邦人の私たちは、忠実なイスラエルの家族の一員とみなされます。ここに国家間、人種間、男女間の違い、イスラエルと異邦人間の違いはありません。イエス様を信じる人は、同じ家族です。
イエス・キリストは、イスラエルの民が長い間2千年にもわたって待ち望んできた救い主として来られたのです。このキリストの誕生と十字架と復活によって、これからは全く新しい霊のイスラエルの家系図が始まるのです。それは霊によって生まれた者の家系図です。血筋ではなく、肉ではなく霊のイスラエルの誕生です。メシアなるキリストを信じる者の家系図が始まったのです。
イスラエルの民だけでなく、異邦人すべてが、イエス・キリストを父なる神さまの裁き、罪からの救い主と信じる者は、神の子とされるのです。イエス様の子供ではなく、わたしたちは皆、神の子です。そしてイエス様が長男で、私達がみなイエス様を長男とした神さまの兄弟姉妹なのです。
最後にローマ人への手紙8章29節を読んで終わります。
8:29神はあらかじめ知っておられる者たちを、更に御子のかたちに似たものとしようとして、あらかじめ定めて下さった。それは、御子を多くの兄弟の中で長子とならせるためであった。
2024年12月8日(日)
ニホン・ネットキリスト教会
メッセンジャー:戀田寛正
ジャン=フランソワ・ミレー「落穂拾い」
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